第40話 ヒャクシキ 炎のさだめ編

『他に食べる方法を知らんからさ。だから今だに嫁さんももらえん』

 盗んだ『タコ』を若い猫に分け与えるるヒャクシキ。

 札付きの野良猫である。


 そこへ現れた、鮮魚センターのアルバイト

 盗まれた『タコ』探し続けていたのだ。

 路地を彷徨うように歩き続けていた。

「あのクソ猫…せっかく見つけた仕事…クビになっちまう」

 彼は、わけあって地元を離れ、遠い地にやってきたフリーアルバイター(32歳)

 土地勘さえないのに路地を彷徨う羽目になるとは…

 毎朝、開店前に鮮魚を並べ6時にシャッターを開ける。

 彼のような要領の悪いタイプは、ヒャクシキのカモでしかない。

 ここ1週間、盗み続ける野良猫『ヒャクシキ』

『戦いは非情さ』


 そして店長に怒鳴られるフリーター

「捕まえるまで帰って来るな‼ じゃなきゃクビだバカ野郎‼」


 そんなわけで…

 盗まれたタコを探し続けて

 彼は彷徨う見知らぬ路地を

 ホタテの匂い染み付いて咽る

 探しますと言ったはずだ

 詫び入れたはずさ

 時刻を見れば

 6時をまわる

 シャッターは開いたのさ

 帰ると言えば

 ダメだと怒鳴る

 店長が怒ってる

 またココでもクビ、つらい…


『人の店の中に踏み込むには、それ相応の資格が要る』

 タコを他の猫に分け与え、若い猫に盗みの危険さを説くヒャクシキ。

「いつもこの子達の分まですみません」

 母猫がヒャクシキに礼を言う。

『父親代わりの経験もいいと思っている。胸がときめく』


 チャンスは最大限に生かす、それが私の主義だ‼

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