第32話 なぜ…3
『どうしたことだ…』
上へ…上へ…独りで退屈だったので、棚から棚へ上っていたら…降りれなくなった。
完全に挟まった。
天上とタンスの隙間にムギュッと挟まった。
『これは困った』
動けん…
「にゃぁあー」
小さく鳴いてみたが…誰もいないのだ。
いや、いないから独りでヒマで…上って…上って…こうなったのだ。
主が帰ってくるまで…まだ帰らないだろう…アイツ、夜まで帰らん。
とりあえず…腹減ったのだ。
降りれん…以外と高いな…おい。
なんか身体も上手く動かないし…飛び降りる自信がないぞコレ。
「にゃあーーーー!!」
とりあえず鳴いてみた…けど…どうにもならないな。
待つしかないのか。
『にしても…誰も帰って来ないな…』
ちょっと飛び降りてみるか?
前足を宙に投げ出してみる。
『あっ、コレダメだ』
なんか後ろ足で跳ねるほど髙さが無いわ…コレ落ちるわ。
戻れるかな?
なんとか身体を入れ替えてみる。
尻尾が、はみ出ダラーンと垂れる。
『ダメだ…さっきよりダメだ…ぶら下がることもできねぇわ』
しかたない…大人しく待とう。
アゴを前に出して、ポケーッと宙を眺める。
「くぁぁぁぁー」
アクビもし難い…狭さ…。
『俺、なんでココにいるんだろう?』
なんで登っちゃったんだろう?
なんか泣きたくなってきた。
ガチャッ…
『おっ?』
「トラちゃ~ん、ただ今~」
『おぉー、我が
「にゃーぁぁあああー」
必死で呼んだ。
『我が
「トラちゃん? どこ?」
『ここだー』
「トラちゃん? どこ?」
主の頭が目の前だ。
『今だ!!』
主の頭に前足を伸ばし、爪を立ててグイッと身体を引き抜いた。
「イタッ」
そのまま、主の頭を蹴って、ベッドの上に着地する。
『助かったぜ…ふぅ~、身体が固まったぜ』
グィ~ンとノビをする。
『主、今日の晩御飯は?』
我が主…頭を抑えて…なぜか、うずくまっている。
『どうした?』
「にゃむ?」
「バカ、トラ!!」
バシッ!!
なぜ叩かれたのか?
私が何をしたというのか?
身に覚えはないのである。
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