第28話 なぜ…2

『どうしたことだ』

 なぜ主人は、ドアを開けないのか?

 ドアの前で「にゃー」と鳴いたら開けてくれるはずなのに…。

 ドアには私専用の扉もあるのだが、主のヤツ…本でふさいでおられる。

『本当にどうしたことか? まったく困ったことだ』


 にしても…なんか…気分が悪い…変なモノでも食べたかな?

 そういえば…今日は何を食べた?

 私はドアの前に座ったまま、頑張って思い出してみる。

 過去は振り返らない主義なのに。


 朝は……カリカリにミルクだった…ような気がする……たぶん…。

 朝は大体、そんなものだ、何味だったか…な…まぁ大した問題じゃない。

 きっとマグロだ、たぶん…。


 それから…寝た。

 起きて…また寝た…のか…な?

 いやいや…トイレに行った。


 そして…寝た。

 うん、寝たのはトイレの後だ。


 そして…起きた、なんで起きたんだっけ?

『う~ん…ふぁあぁ~』

 アクビが出てきた。

 窓の外から雀の鳴き声、ウトウト眠くなる。

 ………はっ、雀で思い出した、私は窓から飛び込んできた雀に驚いて起きた。

 そうだった、そうだった、そのまま、雀を追いかけて捕まえたんだ。

 そういえば、捕った雀は?

『雀!! ちっこい雀!! ……どこいった?』

 首を傾げて考える……雀どうした?

 まさか主が捨てたのか?

『おい!! 私の雀をどうしたのだ? おい開けろ!!』

 私はドアを引っ掻いた。

「うるさい!! トラちゃん嫌い!! あっちいけ!!」

 やれやれ…怒ってやがる…まったく何をしたというのだ。

 にしても…気分が悪い…

 ゲボッ…オウェ…ゲボッ、ゲボッ…

 はぁ…はぁ…粗相してしまった…

 猫だから許せ主よ……そして早く片付けろ、なんか臭い。

『ん? おや? はて?』

 雀だね…。

 粗相の中に雀がいるね…?


「トラちゃん!! 雀食べた挙句に吐いたの? 最初から食べなきゃいいでしょ!! ばか!!」

 バシッ!!

 やっとドアを開けたと思ったら、怒鳴られて叩かれた…。


 なぜ叩かれたのか?

 私が何をしたというのか?


 身に覚えはないのである。

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