第25話 孤独な闇
『なんでワタシをこんなとこに閉じ込めるの?』
ワタシは鳴いた。
喉が痛くなるほどに鳴いた。
ココは暗い。
色んな臭いがする…嗅いだ事の無い生物の臭いが充満している。
ココは怖い。
聞いたことも無い呻き声がする。
ワタシと同じように鳴く生き物がいる。
吠える。
鳴く。
唸る。
ココは怖い。
ウルサイ!!
耳が痛い。
ウルサイ!!
揺れている…ガクガクと揺れる。
『助けてよ!!』
昨日まで、一緒に居たのに…一緒に眠ったのに!!
今は独りだ。
ずっと…ずっと…
『どうして?』
みんな一緒に暮らしてたのに、ワタシは独りになったことなんてなかった。
こんなうるさくて、暗いところに、カゴに入れたまま閉じ込めるなんて…
『みんなも捨てられたのかな?』
だからうるさく泣いているのかな…だから怒っているのかな…。
恐いから鳴かないで。
ワタシも怖いんだから…。
悲しくなるから泣かないで。
ワタシだって…悲しいんだから…。
ずっと一緒だったのに…
こんな暗い所に捨てられるなんて、思わなかった。
ずっと…ずっと………だと思ってた。
ううん、そんなことすら思わなかった。
さよならするなんて思わなかった。
昨日も一緒で…今日も一緒で…明日も一緒…当たり前だと思ってた。
眠ったのか…
起きていたのか…
何時間も丸まっていた。
もうどうでもよかった。
ウルサイのも…いつの間にか聴こえなくなるほどに…。
臭いのも気にならなくなっていた。
ガコン…
ガタガタと箱が揺れる。
四角い灯りが、ワタシを照らす。
この中にいたんだ…
白くて大きな鳥の中にワタシはいたらしい。
なぜだか解らないけど…ワタシは鳥のお腹から外に出された。
食べられた覚えも無い…箱の中にいるのだし、ワタシは、いつから、あの鳥の中にいたのだろう?
どこかに運ばれていく…
懐かしい匂いがした。
「ミル♪」
ワタシをカゴからだして、あの子がワタシを抱っこした。
「飛行機怖かったんだね、もう大丈夫だからね」
ワタシは嬉しくて…嬉しくて…抱きついた。
「今日から、この国で暮らすのよ」
ワタシは、大きな鳥に運ばれて、違う場所へ来たらしい。
でも大丈夫。
ずっと…ずっと………一緒だもん。
ワタシはあの子にスリスリと頭を擦り付けた。
『ずっと一緒』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます