第714話

「皆様、どうぞ盛大な拍手をお願い致します!海底城における試練を見事に突破して秘宝を手に入れた参加者、ロイド様とソフィ様のご登場です!!」


「「「「「「うおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!」」」」」


「ほっほっほ、ありがとうございます皆様!それではこれより、優勝賞品の贈呈式を行いたいと思いますがその前にまずはロイド様とソフィ様にここまでの感想をお伺いしたいと思います!まず初めの試練から振り返らせて頂きたいと思いますが……」


「……悪かったなマホ、最後の最後で期待に応える事が出来なくてさ。」


「いえいえ、気にしていませんよ。それよりもおじさん、本当にお疲れ様でした。」


 覚悟を決めて真正面から無謀にも戦いを挑んだその結果、何とかロイドを倒す事は出来たがソフィのライフを残り1まで削った所で敗北してしまった俺はマホと一緒に海底城を後にして大勢の観客達と頂上に到達した2人の事を見上げていた。


「はぁ……分かってた事だけど、あいつ等ってマジで強いんだなぁ……若い奴の成長速度は侮れんわ……」


「えへへ、おじさんだって凄かったと思いますよ。ロイドさんとソフィさんの連携に逃げずに立ち向かって、もう少しで勝てるって所まで追い詰めたんですから!本当に凄いですよ!だからそんなに落ち込まないで下さい。ね?」


「………おう………」


 手をギュッと握り締められて何とも言えない気恥ずかしさを感じた気がした俺は、視線を逸らしながら空いている方の手で後頭部をガシガシと掻いていた。


 そんな事をしてる間にテーラー・パークにより勝利者インタビューは進んで行き、話は俺達との戦いに関する事になっていた。


「ロイド様、ソフィ様、最終試練では同じギルド仲間の九条様との戦いとなりましたけどもいかがでしたか?やはり心情的には何か思う所があったのでしょうか?」


「ふふっ、そんなに難しい考えはなかったよ。あの時に感じていたのは、凄く楽しいっていう感想ぐらいのものさ。」


「楽しい……ですか?」


「うん、あんな風に真剣勝負をする機会なんて滅多にないからね。だから九条さんと戦っていた時は心が躍っていたよ。ソフィも同じ気持ちだったんじゃないかな?」


「……次はライフポイントとか気にしないで思いっきり戦いたい。」


「おぉっと!これは私も予想もしていなかった返答ですねぇ!その時は是非とも拝見したい所ですが、皆様の親交の場を邪魔してしまう訳には参りません!という訳で、感想を聞くのはこの辺りまでにしてそろそろ優勝賞品の贈呈を行いたいと思います!ロイド様、ソフィ様、どうぞこちらの方へ!」


「あっ、おじさん!いよいよ始まるみたいですよ!」


「そうみたいだな。はてさて、一体何が貰えるのやら……」


 テーラー・パークの指示に従ってロイドとソフィが移動をすると、職員のお姉さん2人が何かを手に持って歩み寄って行った。


「まず1つ目、そちらは現在ご利用を頂いている宿屋の無料宿泊カードになります!そちらは利用回数無制限となっておりますので、ミューズの街へお越しになった際は何時でもお使い下さいませ!」


「うおっ、マジかよ!」


「あ、あの豪華なお部屋を好きなだけって……凄すぎじゃないですか!?」


「そして2つ目、そちらは優勝賞金の100万Gとなります!お受け取り下さい!」


「おいおいおいおい……ちょっとコレは太っ腹すぎないか?」


「ひゃ、100万Gって……!」


「ふふっ、どうもありがとう。それでは遠慮せずに頂くとするよ。」


「えぇ!どうぞどうぞ!それでは皆様、もう一度盛大な拍手をロイド様とソフィ様をお願い致します!」


「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」


 こうして割れんばかりの歓声と拍手の中、大きく手を振っておるロイドとソフィの姿を見上げながらイベントは終わりを迎える事になるのだった。

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