第699話

「皆様、遠路はるばる当テーマパークへようこそお越し下さいました!またこうしてお会いする事が出来て本当に良かったですよ!」


「あ、あはは……俺達もまた貴方にお会い出来て良かったです……はい……」


 満面の笑顔を浮かべているピエロメイクで小太りの男性、テーラー・パークさんと久しぶりに顔を合わせた俺は彼のしている恰好に困惑しながら握手を交わしていた。


「はっはっは、そう言って頂けるとは嬉しい限りですよ!さて、皆様とはお話したい事が沢山あるのですが当テーマパークを楽しんで頂く為の時間を奪ってしまう訳には参りません。早速ですがイベントに関する説明をしてもよろしいでしょうか?」


「うん、よろしくお願いするよ。」


「かしこまりました。それではまず、九条様、ロイド様、ソフィ様、こちらをお受け取り下さいませ。」


 そう言ってテーラー・パークが俺達に手渡してきた物は、手の平に収まるぐらいの大きさをした金色の鍵だった。


「えっと、コレは?」


「そちらはイベントに参加する為の証でございます。今度行われる際に必ず使用する物となりますので、どうか無くさない様にお願い致しますね。」


「わ、分かりました……えっと、それでイベントの内容は?何をするんですか?」


「それは、当日のお楽しみという事でよろしくお願い致します。」


「な、なるほど……そういう事なら分かりました。」


「ご理解して頂きありがとうございます。次にイベントの参加についでなのですが、今回は1人、もしくは2人で参加して頂く事になります。」


「えっ、1人か2人?」


「はい。ですので、皆様で2チームを作って参加して頂く事も可能ですよ。その際はまたこちらへお越しになって申請の程をお願い致します。」


「あぁ、はぁ……」


「次は優勝賞品についてなのですが……こちらも当日まで秘密とさせて下さい。」


「……秘密が多いんだね。」


「えぇ、参加者の皆様には是非とも当日までワクワクして頂きたいと思いまして……そちらについてもご理解をどうか。」


「……はい、大丈夫ですよ。」


「ありがとうございます。これにて説明は以上になりますが、他に聞いておきたいと思っていらっしゃる事はございますか?」


「いえ、特にはありません。」


「そうですか。では、説明はこれで終了とさせて頂きます。また何か気になる事等がありましたら何時でもこちらをお尋ね下さい。それでは、当テーマパークを思う存分お楽しみ下さいませ!」


「えぇ、それでは失礼します。」


 大げさな仕草をしながらお辞儀をしてきてくれたテーラー・パークさんに見送られながらイベント会場を後にした俺達は、夏の暑さを感じる外に出て来ていた。


「ふぅ、それじゃあ……遊びましょうか!」


「あぁ、その前に休憩場所の確保をしないといけないけどなぁ。確か料金を支払えば借りられるんだっけか?」


「うん、嬉しい事にイベント参加者は無料で借りる事が出来るみたいだけどね。」


「おっ、それならさっさと借りに行くとしようぜ。幾ら無料だって言っても、場所が無きゃお話にならないからね。」


「えぇ、急ぎましょう!」

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