第698話
1人で眠るには広すぎるベッドで孤独に朝を迎える事になった俺は、宿屋内にある食堂で朝飯を済ませると貴重品と水着の入った小さなバッグだけで持って皆と一緒にレジャープールとなったテーマパークの中にやって来ていたんだが……
「やれやれ、まだこんな時間だってのに随分と大盛況だな。」
「えぇ、だから本当に助かりました。おじさん達がイベントの出場者だったおかげで関係者入口から入る事が出来ましたからね。」
「ふふっ、少しだけ他のお客さんに悪い気がしないでもないけどね。」
「だな……まぁ、気にしても仕方ないからさっさと行くとしようぜ。確かイベントの受付は奥の方にあるイベント会場でやってるんだったよな?」
「うん、さっきそう言われた。」
「よしっ、そんじゃあ行くとするか……って、その前に水着に着替えとかないとな。後からだと更衣室が混んで大変な事になりそうだし。」
「そうですね。それではおじさん、また後で合流しましょう。」
「はいよ。すぐそこの案内板の前で良いよな?」
「うん、それで構わないよ。九条さん、私達の水着を楽しみにしていてね。」
「……アホな事を言ってないでさっさと着替えて来い。」
「うん、行ってきます。」
広場を正面に見て左側にある女子更衣室に向かった皆を見送ってから反対側にある更衣室に足を踏み入れた俺は、手早く水着になって薄手の白いパーカを羽織ると軽く日焼け止めを塗り直してから集合場所で皆が戻って来るのを待つ事にした。
「……あっついなぁ……」
親子連れやカップル、仲の良い友人同士で来たであろう人達の会話を耳にしながら青く澄み切った夏の空を見上げてそんな言葉を漏らしていると周囲の喧騒がピタッと止まったので何事かと思って顔を下げてみると………
「おじさーん!お待たせしましたー!えへへぇ、どうですか?私達の水着姿!」
「ふふっ、今回は少しだけ冒険してみたんだけど似合っているかな?」
「……どう?」
「………………お………おう……………」
ヤベェ……メチャクチャ油断してた……そうだよな……こいつ等だって、きちんと成長してるんだから……それがこうして表れていてもおかしくないですよねぇ……!
「おやおぁ?おじさーん、もしかして私達の水着姿に見惚れちゃってますか?」
「そ、そそ!そんな訳ある訳ないじゃないですか!何を仰っていらっしゃる!?」
「えへへー照れなくても良いんですよぉ?だっておじさん、顔が真っ赤になっているじゃないですか~」
「こ、コレは暑いからそうなってるだけで!お前達の水着をっ?!」
「なるほど、それならもっと近くから私達の事をよく見てくれるかな。」
「……どう?」
「ど、どど、どうってそりゃ……」
マホに関してはまだ大丈夫だ!だってまだ少女って感じだからな!でも、その……ロイドとソフィに関しては黒と白のビキニって……しかも布面積が少なくねぇっ!?良いの?本当に良いのか!?色々とダメなんじゃないですかああああっ!!?
「……うん、どうやら気に入ってくれたみたいだね。それでは受付に行こうか。」
「うぇっ!?ちょっ!」
「うん、その後は全力で遊び尽くす……!」
「お、おいっ!2人して何をっ?!」
「はいはい、もっと混んでしまう前に早く行きますよー!」
「だっ!いやっ!えええっ!?」
何なのこの子達!?どうして水着姿のままで俺の腕に抱き着いてこれるんだよ!?恥じらいとかそういうのは無いの!?それとも俺が男として意識されてないだけ?!誰か……誰か教えて下さああああああああああああい!!!!!!
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