第22章 プール!?イベント?!攻略開始!!

第689話

 後輩達がそれぞれの道へ旅立ってから早数日、俺は2人の神様と一緒に最終指導の現場でもあるダンジョンのボス部屋にやって来ていた。


「……どうだ?何か感じるか?」


「……いいえ。アンタはどう?」


「ふむ、特別おかしな力の流れは感じたりはせんな……九条よ、本当にあやつがこの場に姿を現しおったのか?見間違いではなく?」


「あぁ、姿が似てるだけの抜け殻みたいなもんだったけどな。間違いなくお前と俺で倒したアイツだったよ。」


「そうか……ううむ………」


 あの日に起きた事は一体何だったのか……それを確かめる為にレミとユキを連れてここまで来てみたんだけど……2人の反応を見る限り、何も分からなそうだな。


「ねぇアンタ、そっちの方で何か原因に心当たりとか無い訳?」


「あー……いや、ちょっと思い当たらないかな……」


「ふーん……」


 ……嘘だ。本当は1つだけ思い当たる節がある。それはここ最近、たまに見る事が多くなってきたあの夢の事だ。


 傷付き倒れている仲間達、そんな皆に向かって自分の意志とは関係無く武器を振り下ろす……そんな見たくもない夢をどういう訳か見る事が増えてきた事に恐怖に似た不安を感じているんだが……俺はその事を伝えようとは思わなかった。


 無論、この話をすれば2人は俺の力になってくれるだろう。だけど、実害がある訳でもないこんな夢の話を聞かせても仕方無いからな。


「……レミ、ユキ、こんな所まで付き合って貰って悪いんだがそろそろ街に戻るか。特に収穫が得られそうな状況って感じでも無さそうだからさ。」


「……力になれんくてすまんな。」


「いやいや、特に何も感じ取れなかったってのも重要な情報だって。2人共、本当にありがとうな。」


「別にお礼を言われる様な事はしてないわよ。けどそうねぇ……感謝の気持ちがあるって言うんなら、小腹が満たせる物でも奢ってくれるかしら?」


「あぁ、ここまで付き合ってくれた報酬として何でもご馳走してやるよ。」


「おぉ!本当に良いのか?!そういう事ならば店の選別はわしに任せてもらおうか!実は以前よりカレンから教わっていた場所に寄ってみたいと思っておってのう!」


「えっ、カレンさんから……?えーっと、それはお値段はどれ程のもんで……?」


「はっはっは、安心せい。カレンはお手頃価格じゃと言っておったぞ!」


「いや、貴族様の言うお手頃価格って恐怖心しか感じないんですが……」


「ふんっ、今更になって泣き言なんて聞いてあげないわよ。ほら、さっさとここから出るわよ。湿気が酷くて何だかベタベタしてきて気持ち悪いのよ。」


「えぇ~……出来ればもう少し心の準備をさせて欲しいんだけどなぁ……」


 サッサと前を歩くユキの背中をレミと追いかけてダンジョンを後にした俺達は……まぁ、それなりに財布にダメージを与えるスイーツ店で食事を楽しむのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る