第21・5章
第686話
「うおおおおっ!えっ、ちょ!皆、こんなに凄い素材を手に入れちゃったの!?一体どんなボスを相手にして来たのさ!」
「ふっ、神の姿を模した魂無き者……かな?」
ダンジョンで入手してきた換金アイテムを斡旋所で報酬に変えてすぐにやって来た加工屋でメチャクチャ調子に乗っているクリフの真後ろに立っていた俺は、ため息を零しながら後頭部をガシガシと掻いていた。
「かな?じゃねぇっつうの。アホな事を言ってないでさっさと依頼をしろ。」
「そうだよクリフ、他のお客さんのご迷惑になるからお喋りはこれぐらいで。」
「えぇー!私としてはこのコアクリスタルを入手するまでの流れを詳しく聞きたいんだけどなぁー!」
「ふふっ、それはまた今度ね。」
「ぶぅー……絶対だからね!それじゃあ2人共、今日の依頼内容は何かな?やっぱり武器の作成?それとも強化にする?」
「えっと、そうですねぇ……クリフはどうするんだい?」
「我は武器強化を依頼するつもりだ。頼めるか?」
「うん、大丈夫だよ。それじゃあクリフ君が使ってる武器、見せてくれるかな?」
「あぁ、コレだ。」
「ふーむ、なるほどなるほど……良いね、シッカリと使い込まれてるのが分かるよ。大事にしてきたんだね。」
「無論、我が相棒だからな。」
「うんうん、そういう事ならこっちも気合を入れて仕事に取り組まないとね!って、言いたい所なんだけど……1つだけ確認したい事があるんだけど良いかな?」
「ん?何だ。」
クリフの問いかけに対して勿体ぶる様な仕草をしたジーナは、人差し指をピンっと立てながらニコっと微笑んだ。
「君の相棒なんだけどさ、ちょっと破壊しちゃっても良いかな?」
「……は?」
「……おいジーナ、そうやってクリフをからかうのは止めてやってくれるか?驚きのあまり固まっちまったじゃねぇか。」
「あははっ、ゴメンゴメン!でも、からかっているつもりはないんだよ?強化をする為に壊させて欲しいって言うのは本当だからね。」
「あ、あの!それはどうして……?」
「理由は簡単。この素材があまりにも特殊すぎるからだよ。普通に強化をしたんじゃ刀身が使い物にならなくなっちゃう可能性が大きいんだ。そうなったら一から武器を作成した方が良いんだけど……クリフ君はこの武器を強化してあげたいんだよね?」
「……あぁ、その通りだ。」
「了解!そういう事なら刀身を一度壊して、そこに素材を混ぜ合わせる感じで強化をするね?大丈夫かな。」
「……構わない、そうしてくれ。今ある形を大事に残したいう気持ちも存在するが、我は相棒と共に更なる高みへと至りたいのだ!」
「おぉー!カッコいいね!それじゃあ強化の方向で依頼を引き受けるねっ!それで?エルアちゃんはどうするのかな?武器の作成?それとも強化?」
「……僕はその、盾の強化をお願いしたいんですけど……出来ますか?」
「うん、それじゃあその盾をちょーっと見せてくれるかな?」
「はい、お願いします。」
親父さんから譲り受けたという大きめの盾をエルアから手渡されたジーナは、瞳をキラキラとさせながらジックリと観察すると……大きく頷いてみせた。
「うん、大丈夫だよ!コレも少しだけ特殊な手順が必要になってくると思うけど……絶対に満足してもらえる様な仕事をしてみせるよ!楽しみにしててね!」
「っ、はい!」
それからしばらくした後、手続きを済ませてそれなりにデカい料金を払った2人と一緒に俺達は店を後にするのだった。
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