ある男の置き手紙

ヴィルヘルミーナ、俺は今日ここを出る。


この街はもうダメだ。

爺さんたちから若い衆まで、なんなら赤子も含めて、みんなあの病気ペストに罹っちまってる。


マールんとこの娘が悪霊に触られた日を覚えてるか?みんなで魔女狩りに行った日だよ。あれからしばらく、血みてぇな色の雨が降り続けただろ?きっとあれが原因だ。魔女の仕業だ。


ついさっき赤毛の魔女が処刑されたなんて話を聞いたが、安心できねぇ。おまえも早くここを出ろ。近くはダメだ。隣町にも、その隣の町にも感染は広がってる。


西に行け。

ル・アーブル港からまだ船が出てるはずだ。

オスロで会おう。


クラウシオ。

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