闇夜



暗い。


森羅万象、一切の事物をとろりと濃厚な闇が包み込んでいた。


唯一、月だけが光を放っている。

淡く、優しい、ぐっすりとした白い光を。




―――否。


赤く揺らめく小さな光がぽつりと現れる。

光はぽつりぽつりと次第にその数を増やし、いつしかおびただしい松明の群れと成った。

ゆらりゆらりと不気味に揺れながら、群れはかの地へと進行する。



松明は殺意がにじんだ光を放っている。

激しく、攻撃的で、灼熱の光を。



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