第6話

教室だとしか思えない場所に着いてから彼は1番前の席を指定した。そこに座ると彼はチョークを持ち板書をはじめた。「つまりこの施設には健全とは呼べないまでも犯罪者はいないのさ。そしてこの施設には現在十数名の少年少女が在籍している。もちろんみんな能力を持っている。身体能力も常人以上だ。リミッターが外れてるからね。ほとんど世界記録保持者と変わらないスペックだよ。」黒板には能力と書いただけでまだ全然書かれていない。「能力は系統があって1人は基本1つしか使えない。生まれ持った才能みたいなもんだ。それを簡単に見分ける方法もある。過度にストレスを感じた時人間が本能的にする行動に防衛機制というものがある。知っているかな?例えば合理化と言って無理やりつじつまを合わせて納得したり、八つ当たりも置き換えという防衛機制のひとつさ。その防衛機制のどれをするかで系統がわかる。」板書にはいつの間にか、抑圧、置き換え、退行、同一化、逃避、代償、反動形成、補填、合理化と書かれていた。「その上でその人の性格や考えに対応した能力が発現する。例えば僕は置き換えの系統で能力はさっき説明した通りだ。その能力者達を部隊に編成して非公式的に日本の為の剣とするための組織がここさ!名前も決まってないんだがね。」これでも意外と国公立大在学だし、頭は悪い方ではないと思っていたが、流石に理解するのに時間がかかった。「で、俺はそんな異常な所になんで収監されるんだ?別に能力も持ってないし、年齢的にも使えないだろ。」「あぁ、君はちょっとした手違いでね。上層部に連絡したんだがこの施設には送られた時点で戸籍も消されてるし社会的にも死んだ人間となってるからここにいるしかないんだってさ。ついてなかったねー。」「はっ?!軽く言いやがってもし仮にここが能力者の集まりだとして平凡な俺がどーやって生きていくんだよ!」「そのへんを考える為にも君にはここの子達に混ざってカリキュラムに参加してもらう。基本的には戦闘訓練と戦術学だ。」そう言われ俺はここで待つように促された。その間に考える。奴の言っていることは本当なのか。これから俺はどうすれば良いのか。だか分からない。考える度に疑問がよぎる。気がつくと目前には彼と自分より1つ2つ年下の少年少女達が立っていた。

「さぁ、君の常識は覆される。」彼は両手を広げながら言った。

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