第2話
あの事件から数日後、俺は警察署に呼び出された。事件の当日に話せることは全て交番で話したにも関わらずだ。もう思い出したくもないがあの光景は目に焼け付いて離れない。そんなことを考えながら受付に向かうと談話室のような所に案内された。すぐに刑事のような人が現れ、説明してくれた。曰く、防犯カメラの映像から君が殺したのではないかと上部から通達があった。だが現場検証や君へのヒアリングでそのはずはないと刑事は言ってくれているそうだ。明日、刑事裁判があるがあくまで形式上であり君に罪がかかることは無いとも言われ俺は心底動揺したが、彼は良い人だとこれまでの対応や物腰から察していた。だから深く考えずに「わかりました。」と一言答えその場をあとにした。
家に帰りソファに座り込む。警察署では平然としていたが、たかが大学生に殺人や裁判など、いろいろキャパオーバーだ。早めにシャワーを浴びて寝ようとするが目は冴えるばかりだ。「ハァ、」ため息をはく。この一週間でどれだけ俺の日常が損なわれただろうか。なんで俺がこんな目に。ウザイ。メンドクサイ。ダルイ。ウゴキタクナイ。次々と溢れてくる感情に体を動かされそうになる。だめだ、普通にしなくてはと考えを無理やり帰る。普通に生きる。普通に動く。普通に話す。呪縛のように自分に語りかける。だんだん悪い感情と体が乖離するのを感じて安心する。大丈夫、俺は普通だと。さぁ、明日に備えて寝なければ!俺はベットに潜り込み目を閉じた。そして誰かに声をかけられた気がして周りを見るが誰もいるはずはない。
「、、、、、、、、、、、、、、、ツウ」
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