その7

 さて、賢者が散歩に出かけたときの話である。賢者は、この手の賢人の常で、そういう人や獣人と出会う散歩だらだらあるきが好きだった。

 はたして、この日も彼は一匹の老猫に出会った。

「どうしたんだい?」

 猫は猟師のようであったが、背中にではなくをおぶっていた。

「いや、聞いてくださいニャ」

と、老猫は語り始めた。

「学園都市にいかなきゃ行けにゃいんですにゃ、わたし、今まで自分の家から出たことにゃいので、道がいまいちわかんにゃいのですニャ」

「ああ、そうですか、地図を書いてあげましょう。ときに、あなたはどちらからこられたのです?」

「ああ、カーレンベルク城で、森番をやっているのですニャ」


 散歩を終えて帰ってきた賢者に、弟子はこんなことを言いだした。

「先生、知ってます?」

「なにをだい?」

「学園都市に、変な少年が現れたらしいですよ!」

と、はしゃぐ弟子に、老猫と少年のことを思い浮かべながら、賢者はこう返した。

「へえ、それは気になるなあ」

「会いに行きません?」

「ああ、いつかね」

「やったあ!!!」

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