その4

 さて、賢者と弟子はある日、こんな問答じゅぎょうをした。

「先生、フィリップと、グスタフという2人はどんな人たちでしたか?」

と、たずねた弟子に賢者はこう返した。

「むかしの賢い方々だよ」

 弟子はさらに

「では2人は国をゆずり合った後、後悔はして恨みとかはにゃいのですか?」

と、たずねると、賢者はこう答えた。

「フィリップは父親の遺言をとうとび、グスタフは兄弟の情をとうとんだ。そして彼らは彼らのを得たんだ。どうして恨みなんかあるというんだろうか?」




注:フィリップ、グスタフともに、はるかむかしの伝説上の人物である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る