序章

序文

 この一種の事典について、わたしの思い出を語りたいと思う。というのもこの本の作者である『ペキュシェ』という猫の血を引く獣人と終生の友であるから、必然的にわたしについても語ることになるからである。

 わたしがペキュシェにこの本の概要なかみを説明された時、わたしの顔はどうだったのだろう?

「ふうん、キミの子供時代のあれやこれやについて書くって?」

「うん、まあ、まともな歴史書というよりは、ある時期の、僕の思い出についてかな」

と、猫耳をピンと立てながら、ペキュシェは偉そうに語りだした。

 わたしは、ペキュシェと違って学園都市に来るまでは、根っからのテルムっ子であった。テルムというのはご存じの通り、大陸に覇をとなえる帝国の首都である。

 それに対して、ペキュシェはテルム大学学園都市分校に入学するまでは、世界をあちらこちら回っていたという。そのため、わたしの知らない不思議な事物あれやこれをよく知っていた。

 例えば、こんな風に。

 学園都市とは、文字通り学園のある都市のことで、本作の舞台となっている学園都市は7つのエスカレーター式の学校があり、その中には危険な研究や謎の組織(後述)といったありがちな陰謀が渦巻いている。本作からもその一端が垣間見られるだろう。

 元ネタはとある魔術の禁書目録と思われがちだが、実際のところはブッチャーU氏の作品が元ネタである。

 アームドスーツの実用化以降、付近の都市と繋がりを持つようになるが、それ以前は惑星の環境(テラフォのアレみたいなのが、一杯)もあり孤立していた。

 もとが城下町であり、周囲を城壁が囲っている。

 古い言い伝えによると、その昔一匹の恐ろしいドラゴンが、現在の学園都市近くの湿地帯にいたという。

 しかし、守護聖人ユリによって、そのドラゴンは討ち取られたという。

 今では市の観光地である時計台とその上にドラゴンが描かれている。

ついでに

 アームドスーツとは未来の地球人が作り出した、惑星開拓用の人型機械。

 元々は核融合エンジンや太陽光、石油などで動いていたが、現在ではこの星で発見された、アニマと呼ばれる鉱石を燃料に使用している。

 しかし、この星では専用の武器(マシンガン、ロケットランチャー、ナイフ、釘撃ち等)を持たざるえなくなり、それは当然の如く兵器として使われるように。

 最初は、来訪者のみが使っていたが、アッティラという猫(古の地球では神の鞭という意味らしい)により、猫も使いはじめた。

と、いう感じである。

「それで、題名はどうするのかね?」

 私がそう聞くと、ペキュシェはいたずらっぽく笑いながら言った。

っていうのにしようと思うんだ」

「ほう、それは良さそうだ」

 さて、昔ばなしはこれくらいにしよう。

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