第5話 草薙の王子と彦星の大特訓

転校初日から二週間たったある日。俺は雫からもらった薬を飲み、傷を無事完治させることができた。そして、黒いローブの連中に勝つために彦星と光で特訓をやることとなった。


「「やあ!」」

カキン。俺の剣と彦星の剣がぶつかり合う音が鳴る。


「さあ、いくぞ。スイッチ! 牡牛座! シータ2・タウリー!」

と叫ぶ、しかし、彦星はその攻撃を見抜いていた。


「二度も同じ手は通じないとおもうよ。スイッチ! 獅子座! デネボラ!」

彦星が力技で俺の張ったバリアを破り、空から電気の雨が降る。


「な」

ビリビリ。俺の手足がしびれる。


「どう?」


「妹のビンタと同じ感覚だな……」


「それと同じくらいしびれるってこと?」


「そういうこと」


「良ければ、今の技覚えてみる?」


「おー、良いかもな」


「じゃあ、君のユーソン出してよ」


「ああ」

俺はユーソンをカバンから取り出した。


「で、技の発動はどうすれば良いんだ?」


「まず、剣を自分の好きなように振り回してエネルギーをためる。そして、空に向かって剣を素早く上にあげると、さっきのスイッチが発動できるよ」


「了解」


「じゃあ、やってみて」


「分かった」


「スイッチ! 獅子座! デネボラ!」

俺は剣を縦回転に回し、素早く上にあげると、氷の雨が空から降ってきた。


「へ~、飲み込みが早いね。やっぱり、あいつらの影響?」


「かもな」


「次は光に新しいスイッチ教えてもらいなよ」


「ああ、そうする」

俺はおしるこソーダを飲んでいる光に声をかけた。


「お前それうまいか?」


「うん。うまいよ。飲んでみる?」

俺は光が飲んでいたおしるこソーダを口にする。


「まっっっずーーー?!」

ぜんざいの甘味とソーダの酸味が口いっぱいに広がった。


「大丈夫?」


「全然大丈夫じゃない。お前よくこんなもの飲めるな」


「そんなにまずいかな? 俺は個人的に好きな味なんだけどな……」

「こいつの舌がおかしいのか?」と俺は心の中で呟いた。


「それより、早く特訓始めようぜ」


「あ、ああ」

ユーソンをもう一度カバンから取り出した。


「いくぞ!」


「来い!」


「スイッチ! オリオン座! サイフ!」

光の持っている剣が緑色に光った。そして、その剣を地面に突き刺した。


「へ?」

ゴゴゴゴゴ。地面が大きく揺れ、下から巨大な根っこが現れた。


「な、なんだこれ?」

光が緑色に光っている剣を縦に振ると、その根っこが俺に向かって叩きつけてきた。


「うわ!」

俺は咄嗟にユーソンで身を守る。


「ぐ、ぐぐ」


「さて、この状況を打破する方法を今からお前に教える。よく聴いておけ」


「あ、ああ。よ、よろしく」

俺は光の攻撃に耐えながら、必死に答える。


「そのスイッチ名は、蟹座! アル・タルト! そして、もう一つがやぎ座! ナシラ!

だ」


「そ、そうか」

俺は根っこに潰されそうになりながら答えた。


「まず、一つ目の技は彦星が教えた技のようにすれば上手くいく。二つ目の技は自分の剣が相手の剣を凍らせるのをイメージしてユーソンに命じれば使える。やれ!」


「了解」

「凍れ……凍れ……」と俺はユーソンに巨大な根っこを凍らせるように命じる。


「スイッチ! やぎ座! ナシラ!」

光が出した根っこが凍りついた。そして、根っこの氷が割れると同時に粉々になった。


「どう?」


「初めてにしては上出来だよ。でも、次の技はどうかな?」

光がニヤリと笑った。


「ああ、やってやるよ」

と俺は笑顔で返した。


「スイッチ! 蟹座! アル・タルト!」

俺はユーソンを彦星が教えた技のときよりも早く振る。すると、空から小さな流星が降ってきた。


「これって成功?」


「いや、失敗だ。本来ならもう少し大きな流星が降るはずだ」


「そ、そうなのか……」

「なんで上手くいかないんだよ……」とユーソンを強く握りしめ、心の中で呟いた。


「ま、まあ最初のうちはそんなものだよ。また今度頑張ろう」

と光が優しく微笑んだ。


「それじゃ、今日の特訓はここまで! 寮に帰ろうぜ!」


「ああ」


「彦星ーーー! 特訓終わったぞ」

とベンチに座っていた彦星に、光が叫ぶようにして声をかける。


「あ、終わった? じゃあ、寮に行こうか?」


「「うん」」

と言い、俺たちは寮に向かったのだった。

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