第2話 金髪の少年
体育館に着くと、顔がはっきりと覚えいないクラスメイトといかつい容貌の体育の先生がいた。
「おい、星野! 早く来い! もう皆並んでいるぞ!」
「す、すみません」
俺は急いで列に並んだ。
キンコーンカンコーン、キンコーンカンコーン。
チャイムが鳴った。それと同時に授業が始まる。
「え~、今日の科学基礎演習Aはマシニクルソードのスイッチの一つ。その名もシータ2・タウリーだ。この技は牡牛座のセイクリッドコードでバリアを張るスイッチの一つでもある。皆頑張って覚えるように!」
「はい!」
俺たちは大きな声で返事をした。
「それでは、バトルフィールド展開! その間に二人組を作りなさい」
「はい!」
体育館のコートの下から、コンクリート状の地面にガラス張りされているバトルフィールドが、地響きを鳴らしながら現れた。
「僕とペアを組まないか?」
俺がバトルフィールドの展開を見ていた時、さっき教室で話かけられた金髪の男がまた俺に声をかける。
「いいよ」
「さっき名前を聞きそびれたけど、君、名前は?」
「俺は星野流星。お前は? 」
「僕は彦星聖夜。よろしく」
「よろしく」
「あと、君のマシニクルソード見せてくれるかい?」
「ああ、構わないよ」
俺はマシニクルソードを彦星に渡した。剣を渡した瞬間、彦星が少し笑ったような気がした。
「へ~、これが君のマシニクルソードか? 何ていう名前なの?」
「え? 名前? 名前はないよ」
俺は彦星の質問に困惑した。「そもそも剣に名前を付ける必要があるのだろうか」と考えた。
「えっと……剣の名前はユーソンだよ」
「へ~、ローソンみたいな名前だね」
彦星は腹を抱えて笑った。
「おい、やめろ。そんなこと言ったら俺まで笑ってしまうだろう!」
俺は赤面しつつも笑いをこらえた。
「剣返しておくね。見せてくれてありがとう」
「どういたしまして」
俺は彦星からユーソンを受け取った。それと同時に先生から号令がかかる。
「よし! 皆、ペアは組めたか? これより、二人組で演習を行う。演習の仕方はバトル方式だ。それでは、始め!」
俺たちは剣を構えた。
「彦星! いくぞ!」
「ああ、いつでも来い!」
俺は腰を低くして、剣を素早く振る。
「スイッチ! 牡牛座! シータ2・タウリー!」
と叫んだが、スイッチを発動することは出来なかった。
「大丈夫? 初心者ではよくある失敗だよ。気にしないで」
「ああ、ありがとう」
「次は僕の番だね。それじゃ、いくよ!」
彦星は生徒全員に支給される剣を出し、腰を低くする。
「来い!」
「スイッチ! 牡牛座! シータ2・タウリー」
と彦星が叫ぶと、剣が青白く光出した。その剣を彼が素早く振り、電気の膜でできたバリアを張った。その瞬間、俺は彦星に剣を振るが止められてしまった。
ギュイイン。
バリアと剣が擦った音が鳴る。俺は彦星から素早く剣を離した。
「なかなかやるな」
「君こそ、やるじゃないか」
俺たちは互いに褒め合った。
ピーピー。先生のホイッスルが鳴る。
「今日の科学基礎演習Aはここまでだ。解散!」
「ありがとうございました」
俺たちは先生に大きな声で挨拶をして体育館を去った。教室に帰る途中、彦星に生徒全員に支給される剣について質問する。
「ところで、彦星。さっきはペアを組んでくれてありがとう。ところで、質問しても良いか?」
「どういたしまして。質問しても構わないよ」
「ありがとう。生徒全員に名前はあるのか?
彦星の身分はシェアトなのか?」
「名前はないよ。でも、生徒の間ではジュピターって呼ばれているよ。あと、僕の身分はシェアトだよ。ポラリスだと星のバッジを付けているから分かりやすいよ」
「そうなんだ。ありがとう。ところで、今日の放課後一緒に帰れるか? 」
「どういたしまして。帰れるけど、この学校全寮制だよ」
「やべ~、家に荷物忘れた」と俺は心の中で呟いた。
「どうかしたの? 」
「いや、何でもない」
俺は少し動揺した。
「待ち合わせ場所どこにする?」
「体育館裏で」
「それじゃ、また放課後に」
「ああ」
彦星は明るく笑い教室に向かうのだった。
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