第3話 銀河の水神と業火の姫君

そして、放課後になり、かぐやと合流した。俺は家に置いてきた荷物を取りに行って欲しいと頼むと、かぐやはむすっとした表情をして荷物を取りに行ったのだった。その間に俺は彦星と待ち合わせの約束をした場所に向かった。



「やあ、待たせてごめん。寮に案内するよ。友達も連れて来ているけど、構わないかい?」


「ああ、大丈夫だよ」



彦星は俺より後に来たが、気にしなかった。たが、俺は彦星が連れて来た2人を少し気にしたのだった。



その2人のうち1人は目が青く、青髪のさっぱりとしたショートヘアーで白い制服に星のバッジを付けている。そして、もう1人は目と髪の色が黄緑色でくるりとしたベリーショートヘアーの男性だ。



俺はその2人を見てどこか懐かしいような気がした。



「やあ、久しぶりかな? 流星君」


「ああ、久しぶりだな。ところで、お前俺とどこかで会ったか?」



黄緑色の髪の男が動揺した。



「え~、俺のこと忘れたの! 俺だよ! 俺! 星原光だよ! あと、この青いのは銀河の水神と呼ばれる天ノ川雫さんだよ。忘れたのか!?」



「星原光ってあの!? 小学校の頃泣き虫だったあの星原なのか! それに、天ノ川雫って確か小学校の時、生徒会長だったあの?!」



俺は驚愕した。まさか、彦星が連れて来た2人が幼なじみだったとは。


「続きは寮で話そうか」



と彦星が声をかけた時だった。



「あの男からマシニクルソードを奪え」



黒い無地のローブを着た5人組が俺たちに襲いかかる。俺は咄嗟に剣を大きくしてスイッチを使った。



「やあ!」


「スイッチ! 牡牛座! シータ2・タウリー!」



ローブを着た女の攻撃を防いだ。だが、別の仲間が横から攻撃を仕掛ける。



「スイッチ! うみへび座! オミクロン・ヒュウドラェ!」



俺の周りに水の渦ができ、黒いローブの2人組の攻撃を阻止した。



「私のこと忘れないでよね。黒いローブさんたち!」


と雫が言う。



「もしかして、さっきの技はお前がやったのか?」


「ええ、そうよ。それより、今はこいつらに集中しましょう」


「ああ」


さっき俺の攻撃を受けた黒いローブの女がもう1人の仲間と手を組み、俺に攻撃を仕掛ける。



「「スイッチ! 乙女座! ビンデミアリスク!」」



俺と雫の周りに光の粒ができた。そして、その粒が爆発し、俺たちの視界は真っ白になった。



「クッ! 前が見えねえ!」


「キャ!」



八重歯を出している黒いローブの女性が俺

に近づいて来る。



「このマシニクルガンでとどめニャ! スイッチ! 牡牛座! エルナト!」



マシニクルガンから発射された玉が俺の腹に直撃する。



「うぐっっ!」


「大丈夫ですか?」


「ハアハア……。大丈夫じゃねえかも……」



パタン。真っ白な制服が赤く染まった。そして、俺は倒れた。



「星野君!」


「ハハハ、氷輪の猫よ。よくやった。あとはこいつから剣を奪うだけだ」


「そんなことさせない! 」

と雫が泣きながら言った。



「お兄様!」

俺が倒れているところにかぐやが駆けつける。



「お兄様に何があったのですか?」

と雫に訊いた。すると、雫が涙をこらえ、黒いローブの5人組を睨み付けながらかぐやの質問に答える。



「あいつらがやったのよ」


「あいつらがお兄様を……」


「クックク、ようやく妹様のお出ましか……。「氷輪の猫」「双子の星」よ! あいつをやれ!」



黒いローブの3人がかぐやを襲う。



「よくも……よくも……お兄様を! スイッチ! うみへび座! オミクロン・ヒュウドラェ!」



かぐやが3人の攻撃を防ぎ、黒いローブの集団の周りに炎の渦ができた。



「ク! 動けねえ」


「さあ、雫さんも一緒に」


「ええ」


「「スイッチ! うみへび座! オミクロン・ヒュウドラェ! 」」



ローブを着た5人の周りに水と炎の渦ができ、相手の攻撃を封じ込めた。



「さあ、皆さん、今のうちに逃げましょう」


「ええ」



雫が彦星たちに俺を運ぶよう指示を出した。そして、かぐやは逃げるためスイッチの発動の準備をする。


「皆、準備は良い?」


「ああ、いつでも良いよ」


「それじゃ、いくよ」


「「「「スイッチ! うみへび座! イオタ・ヒュウドラェ!」」」」



彦星たちは何とか逃げきった。



「ク、逃げられたか。業火の姫君め、必ずお前の兄から剣を奪ってみせるからな。ハハハハハハ」

とかぐやのことを嘲笑し、黒いローブの5人組は旧校舎の地下通路へと姿を消した。

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