第17話 中国古典のおもしろ話

こんな時期なので、ちょこっと笑える話を選んでみました

中国笑話選 東洋文庫24 平凡社 松枝茂夫 武藤禎夫 著


タイトル

簡単な内容

ひとこと

と、言う順番で書いてまする


★★★★★★


 息子に字を教える


 代々字を知らないあるお金持ちが、知り合いから「先生を招いて子供に字を教えてもらうと言い」と勧められ、尤もだと思い先生を招くことにしました。

 先生がまず筆をとり、手本をなぞって子供に一画を書かせ、

「これが一の字じゃ」

と、教えました。

 次は二を書かせ、三を書かせて説明しました。

 その子は喜んで筆を投げ捨て、父に告げました。

「私はもう、字の意味は全部わかります。先生を煩わすには及びませぬ」

 そこで先生を断って、帰らせてしまいます。


 そこの後しばらくして、懇意にしている万姓の人を招いて振る舞いをする事になり、その子に朝早く起きて招待状を書くよう言いつけました。ところが、いつまで経っても出来上がりません。父親が行って早く書くよう急かすと、子供は怒ってこう言いました。

「姓も多いのに、なんでよりによって万という姓を付けたんだろう。朝からかかって今までに、やっとまだ五百画あまり書けたきりです」


 終



ずっと真っ直ぐに引き続けてた~!古典からの鉄板だったとは…(笑)


★★★★★★


 間違って死ぬ


 ある人の、母の妻が亡くなったので、抱えの師匠に祭文を作ってくれるように頼みました。そこで先生は、古書の中から誤って妻を祭る文を書き写して与えてしまいます。その人がおかしいと思い先生にただすと、先生は

「この文章は刊行された書物にちゃんとあるもので、間違いがあるわけはござらぬ。多分そちらのお宅の御方が、死に違えられたのだろう。私とは関係ござらぬ」

 と、答えました。


 終



言い訳が酷すぎて許すしかない。


★★★★★★


 川の字


 ある先生、川の字一つしか知らず。弟子からの手紙が来たので、その中から川を探して人に教えてやろうと思い、何枚もめくってみたがない。

 やっと川の字を見つけ、指さして罵った。

「方々探しても見つからぬと思ったら、こいつめ、こんなところに寝転んでやがった」


 終


 

ろくに字を知らない先生も居たそうです。川の字が寝転ぶ。発想が面白い。


★★★★★★


 大きな一の字


 父親が一の字を幼児に教えました。

 あくる日、子供がそばにいる時、父親はちょうど卓を拭いていたので、雑巾で卓の上に一の字を書いてみせ、子供に何と読むか聞きました。

「知らないよ」

「昨日教えた一の字じゃないか」

 子供は驚いて目を丸くします。

「たった一晩の内に、どうしてそんなに大きくなったの?」


 終



 短いのに破壊力がある


★★★★★★


 靴


 ある女が夜中に情夫を引き入れている所へ、亭主が帰宅しました。

 情夫は窓から飛び出して逃げましたが、靴を落としてしまいます。亭主はその靴を拾い上げ、女房に文句を言いながら、靴を枕に寝転びました。

「いずれ夜が明けてから、この靴を証拠にお前の片をつける」

 そう怒鳴りつけます。

 女房は亭主が寝入ったすきに、その靴と亭主の靴をすり替えました。

 朝起きると、亭主がまた怒鳴りだしたので、女房が言います。

「よくその靴を見るといい」

 亭主はよくよく靴を見て大いに後悔しました。

「お前を誤解してすまなかったな。すると昨夜窓を乗り越えて行ったのは、この俺だったんだな」


 終



 スッキリ解決……!? 


★★★★★★ 


 鍬を隠す


 兄弟二人で百姓をしている人がいました。

 兄が先に飯を炊きに家に帰り、準備が出来たので弟に帰って来いと呼ぶと、弟は遠くから答えました。

「鍬をあぜの所に隠してから、すぐ行く」


 兄は飯の時に、

「物を隠す時は、人に知られぬようにするものだ。あんな高い声で言ったら、人が聞いて盗んで行くかも知れないじゃないか」

 と、注意したので、弟はなるほどと頷きました。

 飯が済んで田んぼに行ってみると、鍬はもうなくなっていました。急いで帰り、兄の耳元に口を寄せ、弟が囁きます。

「鍬は盗まれていたよ」


 終



 最後のは囁かなくてもいい…!このオチのきかせ方が好き。


★★★★★★

 

 女の知恵


 主人父子が、召使いの女と通じていました。

 ある時、若旦那が召使の女の部屋へ行き、まだベッドにも上らない内に親旦那が部屋の前へ来てしまいました。女は若旦那をベッドの下に隠し、親旦那を部屋に引き入れます。

 まもなく帰宅した亭主の足音がしたので、旦那様は大慌て。

 女はとっさに、

「ご心配には及びません。親旦那は丸太棒を持って、怒った顔をして部屋の外へお出なさい。あとはうまく言い訳しますから」

 と、親旦那を部屋の外に出しました。

 亭主は部屋に入って来て、女に聞きました。

「どうしたんだい」

「若旦那様が、大旦那様にあやまちを犯したので、大旦那様が丸太棒を持って、ぶんなぐろうと捜しにいらしたのよ」

「若旦那様はどこにいらっしゃる」

 女はベッドの下を指します。

「ここに隠れていらっしゃるわ」


 終



 さあ亭主、何処まで気付けるか…!?


★★★★★★


 こんなところで、さよーなら!

 広告表示してないし、だいぶ本文そのままだけど大丈夫だよね??

 ちなみにこの本は下ネタが多い

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る