第38話 セオの優しさが…
家屋の中心にある庭に隊長、隊員達の墓を作った。セオが白い花を手向けた。
「セオ様その花は?」
隊員の1人が不思議そうに尋ねた。そうだ、ここは砂漠地帯。どこを見回しても草木などない。
「さっき探しに出掛けたのだ。鉱山の近くにやっとみつけたよ。どうしても花を手向けたくて…」
そう言うと足をさすって痛がった。
「お怪我ですか?」
「大きなサソリがいて…それで…」
そう言うと倒れた。
「セオ様!ハリー様セオ様が!すぐ来て下さい!」
ハリーはセオの所までやって来て起こした。隊員の1人が経緯を説明した。
「治療隊!直ぐに来てくれ」
「もしかしたらサソリの毒かもしれませんね。毒消しを打ちましょう」
セオは荷馬車に運ばれ治療する事になった。すっかり日もくれ、この家屋で一夜を過ごす事にした。
皆で夕食を作り食べ始めた頃、家屋全体にバリアが張られた。
「おぉー!有難い!」
隊員達は喜びの声をあげた。
その夜、ハリーは夢を見た。いや夢に神トキノが入って来たのかも知れない。
「ハリーよ。セオは長く持ちません。最後に家族と会えるように急いで城に戻ってあげなさい」
ハリーは驚き起き上がった。そして荷馬車に横たわるセオを見に行った。治療隊は起きて看病をしている。
「高熱が出始めました。薬は効かないようです」
ハリーは慌てて皆を起こし状況を説明した。暗がりは危険だが一刻を争う。皆は急ぎ荷物を整え馬にまたがり帰路に経った。
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