第37話 デューク隊長
誰も負傷者がいなかったため、また駆け足で歩みを進める。家屋のような建物に差し掛かった時だった。
「うわぁー!」
1人の隊員の叫び声。見ると骸骨が剣を振り隊員の足を刺した。それに気付いた隊員達が馬の上から応戦し倒した。
が、家屋から骸骨の群れが走って来る。100体は超えているだろう。
ハリーは一旦退く命令をくだし馬を走らせた。
骸骨達はそれを見てまた家屋に戻って行く。
「どういう訳だ…」
アヴァが呟いた。
「治療隊!怪我人を診てくれ。他の者は戦いの準備を!」
足を斬られたが深くはなく軽傷だった。
アヴァを先頭にまた家屋に戻ると骸骨達は一斉に襲いかかって来た。そんなに強くはなく弱っているような骸骨を全員で倒した。
「ハリー、見ろ!骸骨が着ているのは俺達と同じ制服だ…」
「なんてことだ…仲間を倒してしまったのか……」
「それでいいんだ」
家屋からまた1人骸骨がゆっくりと現れ、そう言った。その声も弱々しかった。
皆は構えたがハリーが腕を横に伸ばし皆を制し彼に近づいた。
「貴方は話せるのですね」
「あぁ、永く苦しい闘いだったが…何とか理性を保って来た。君たちを待ちわびたよ……私は先の戦いで敗れた指揮官デューク」
「なんと!なぜそんなお姿に…」
「魔王に甦された悪霊だ。この者達も私の隊員達…悪魔以外を見付けると殺すように魔力をかけられたのだ。初めは皆理性があり話せたが、1人また1人と悪霊になっていった…そして最後が私だ…この日をどれほど待ち侘びたか……」
「デューク様と隊員達はここで亡くなってしまわれたのですか?」
「そうだ…追い詰められ最後の砦がここだった。神のバリアも消され神も引きづり出され消えられた…皆は理性がなくともここを離れはしなかった…潜在意識がそうさせるのだろう…」
「倒した事で彼らはやっと成仏出来たのですね」
「そうだ…有難いよ……魔王は城にいてデモニオという……どうか仇を!そして私も成仏させてくれ……もう…疲れたよ……」
「デューク様…必ず仇をとります!では行きます!お疲れさまでした……」
「あぁ……ありが…とう……」
ハリーの一撃でデューク隊長は最後の言葉を残し倒れた。皆は涙を流し鼻をすする音だけが悲しく家屋に響いた。
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