第34話 バリアを目指して

 翌日。

 いよいよコントラタック隊が魔界に突入する時が来た。皆の顔は緊張と不安でいっぱいの様子。

 ハリーが街の人達に挨拶をした後タマ子に駆け寄った。


「未来の女王様から何かあれば声を掛けてあげて下さい」


 そういうハリーの顔も引きつっていた。それに気付いたタマ子はハリーの頬をそっとなぜ微笑み皆の方を向いた。


「コントラタック隊の皆様。今ここに国王がいらっしゃるなら、胸を張れ!皆の者を誇りに思う!と仰るでしょう。そして私から…未知の世界に足を踏み入れようとするあなた方が素晴らしく思えます。鍛えた時間は無駄ではありません。過信する事はいけませんが、どうか自分を信じて下さい。そして必ず元気で城に戻って来て下さい。お願いします…」


 タマ子は深々と皆に頭を下げたものだから、皆恐縮して同じように頭を下げた。


「よし!行くぞ!目指すは南のバリアだ!」


 ハリーが大声を出すと皆元気に応えた。


「お姉様、行って参ります」


「セオ、気をつけて」


「はい!ありがとうございます!」


 馬は一斉に走り出した。残されたのは馬車とカヤとタマ子。


「王女様、長旅になります。そろそろ行きましょう」


 馬車の者がそう言い2人で乗り込んだ。

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