第5話 放任

 タマ子が4歳になった頃、修理工場は潰れた。オーナーは新しくそこにマンションを建てたいらしい。

 原田家は3階に住み、父親の一男はクレーンのリース業母親佐和子は管理人を始めた。


 タマ子は幼稚園に通いだす。

 ……が、従業員の食事から開放された佐和子は朝起きなくなってしまった。

 一男は1人4時に起き朝ごはんも無く仕事に向かう。

 タマ子も同じく朝ごはんもなく、自分で幼稚園の身支度をし、パン屋で大好きな菓子パンを1つ買い幼稚園バスの来る場所に向かう。

 現在では考えられない位の放任である。


 送迎バスが来る場所は車の行き来が多く、4歳のタマ子にとっては危険な行為だった。だがタマ子は何も臆する事なく毎日通い幼稚園を楽しんでいた。

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