第3話 タマ子の楽しみ

 原田家は同じ大阪市内ではあったが引越しをした。理由はタマ子の父親一男が自動車修理工場に引き抜かれたからだ。

 1階が修理工場2階が原田家の住居と社員の寮になっている。寮と言っても一部屋に2段ベットが置かれているだけである。

 母親の佐和子が全員の食事の用意をし、2人が稼げるようになった。


 修理工場内では有線が流れる。2階の廊下から大きな窓を開けると、下の工場が見下ろせ曲も聞こえる。

 タマ子はそれが大層気に入った様子で、毎日踏み台を窓の傍に置き音楽を聞くようになった。

 これはタマ子の能力かも知れないが、1度聴いた曲は直ぐに覚え歌える。


「マコとミコ……姉妹かなぁ」


 歌詞も覚え内容を真剣に考え始める。当たり前だがタマ子には理解出来ない歌詞が多い。

 それでも音楽を聞くという楽しみをみつけたのだった。

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