第137話 「136話」
「あー……」
ぐんにょりですわ。
何せ数が数だから、途中で補給のために隣街のダンジョンいったりとかしたし……まさか3日も掛かると思わんかったです。
「やっと300分完成したよー……」
「お疲れニャ」
タマさんと会うのも3日振りというね。
もう禁断症状出てやばかったし、手がぷるぷるしてたし!
タマさんお腹の毛を触らせておくんなまし。
「なんか変な矢も作ってたニャ?」
俺の手をぺしっと叩き落とし、そうたずねるタマさん。
てか変な矢とか言うんじゃありませんっ。
「つれない……うん、ちょっとね。着弾したら辺りに毒ばらまくの作ってみたんだ。 しかもモンスターにしか効果ないんだよ!」
分体が毒を使ってたしね、なら俺も出来るんじゃなかろーかと着弾すると同時に辺りに毒を付与した棘をばらまく様なのを作ったのだ。
矢自体の威力としてはそこそこ。
鉄板もある程度の厚さならぶち抜く。棘は中層の敵ならそれだけで死ぬかなーぐらいの威力かな。
下層の敵には効かないと思う。なのでばら撒いた後は毒を気化して空気中に散布するようにしてある。
これなら皮膚を貫通出来なくても吸っただけでばっちり効果があるって寸法だ。ひゃっほい。
「ほんとかニャ?」
「本当本当、ちゃんと実験もしたしね。 効果はちゃんと発揮したよ」
タマさんてば疑り深いんだからーもう。
ちゃーんと人体実験済みデスヨ?
「見せるニャ」
「え……いいけど、衝撃くわえると爆発するから気を付けてね? タマさんならダメージないだろうけど、俺とかハナとか家にはダメージはいるからね?」
見せるのは構わないけど、タマさんいたずらしちゃダメだよ?
振りじゃなくてまじでダメヨ?
「分かってるニャ。 ここが飛ぶのかニャ? トゲトゲしてるニャ」
「そうそう……タマさん? あまりつつくと危ないデスヨ? いや、まじでっ」
てしてし叩いちゃだめぇっ。
可愛いけど! 爆発するからまじであかんて!?
結局爆発はしなかった。
いやー、ほら。うっかり落としたりして爆発でもしたら大惨事でしょ? だからかなり衝撃入らないと爆発しないようにしといたんだけど……タスカッタネ。
そんな出来事があってから数日後。
俺は少し休憩したり、たまにおっちゃんずに呼ばれて手伝いに行ったりとしながら色々過ごしていたのだけど。
「ウッド、ギルドいくニャ」
「んお?」
ある朝、タマさんが急にギルドに行くと言い出したのである。
また何か用事かなあと思いつつ、ささっと支度をすませて俺とタマさんがギルドへと向かう。
あ、ハナは例によってお留守番です。
ふと、ハナが元の姿で一緒に戦ってくれたら……と考えたけど、下手すると敵と間違われかねないし。
体が大きい分敵からもすっごい集中砲火くらいそうなので、やっぱお留守番ってことにしたのだ。
とりあえず、タマさんとデートだぜーとるんるん気分でギルドへと向かったんだけど……入る早々なんかでっかい部屋に押し込まれました。
「ちょっと人口密度高くないです……? しかもなんかこっちむっちゃ見られてるし」
「タマは有名だからニャー」
部屋の中には見たことない顔がちらほら……というかいっぱいだった。
たぶん他の街から来たダンジョンシーカー達だろうね。
ただ、向こうはタマさんのことは知っているらしく、さっきからタマさんをちらちら見ては「おい、あれタマさんだよな?」とか「え? いや違うだろ? あんな丸くなかったぞ」とか「なんか丸くなってねえか」などなど……様々な声が聞こえてくるんだけど、なんかごめん。
今度ダイエットしようと思います。
だから許して!!
なんて俺が心の中で謝っていると、部屋の中に大量の書類を抱えたリタさんが入ってきた。
リタさんは書類をその場にいる全員に配ると軽く頭を下げ、話し始めた。
「皆さんお集り頂きありがとうございます。 指導者が地上に現れる予想日まであと1週間となりました。 まだ全員が集まった訳ではありませんが、各自の持ち場を決めるのと、迎撃に備えて集めたアイテムの分配、また保管場所についての連絡等々……たくさんありますので、まずは配布した書類を見てください」
「ぶん投げやがった……」
が、読むには長すぎるので途中で面倒になったらしい……。
リタさん最初は凄い出来る受付嬢!みたいなイメージだったのになあ……でもそれはそれで良いなーとか思っちゃう俺がいた。
とりあえず書類読みますかねー。
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