第138話 「137話」

ぺらぺらと書類をめくっていくと、まず目についたのはポーション類の在庫一覧であった。

今回の迎撃戦に参加するのは銀から金のダンジョンシーカー合わせて1000人ほどになるらしい。

でもって金の人には傷を治すポーション、それに魔力を回復するやつ、毒を癒すやつ、それぞれ各10個。銀の人には5個配布されるそうだ。それに加えて特に高レベルの人には俺が作りまくる桃も配布されると。 あの蛍光紫のポーションはさすがに配布はされないらしい、在庫ないのかな? あの効果なら手に入れた人は早々手放さないだろうしねえ。


「ポーションとかの数すっごいね。 このへんの装備って貸し出し? 色々あるんだねえ」


あと変わったところだと装備なんかの貸し出しもやってるぽい。

これはどっちかというと銀の人向けかなあ。 俺は今の装備で十分だからこのままだね? 兜とかむっちゃ使えるし。



「持ち場はー……俺とタマさんは西側なのね。 ん? なんか※マークついとる」


持ち場なんかも書いてあった。

俺とタマさんはパーティ組んでるから同じ場所っぽいね。

基本的に俺は壁の上から攻撃して、タマさんは場合によっては下に降りる感じだろうか……ついていきたいけど、たぶんまじで足引っ張る。



「ウッドさんとタマさんは指導者が現れると同時に隣街のダンジョンで桃を量産してください。 指導者達との戦闘は現れた位置にもよりますが凡そ3日後です、それまでに皆さんと合流をお願いします。 合流後はウッドさんには引き続き桃の量産を、タマさんは敵主力への対応をお願いします」


「ニャ」


俺は俺に出来ることをやろう。

桃を可能な限り用意しておけばきっとこっちの被害も減ることだろう。

まずは隣街のダンジョンを狩りつくす勢いで狩りまくるのだ。



「あとはウッドさんには街周辺の索敵をお願いしたいのですが……分体を出せると聞きまして、出現したかどうかと大体の位置が分かればいいのです。  事前にダンジョンに行っている間も分体に索敵してもらうこと出来ますよね?」


索敵忘れてた!

そうだった、まずは分体を街を中心に大量に展開して敵を感知したら隣街にダッシュ。

その間も索敵は分体にまかせておいて……あ、分体が手に入れた情報どうやって伝えよう?

……リ、リタさんに任せようそうしよう。


「あーなるほど。 了解っす……受け答え出来ないと思いますのでその辺は考慮しといてください」


何か案考えておいてくだたい!

俺考えてもろくなの出ないとおもう。


「もちろんです。 ……地図に印付けたりは出来ますか?」


「たぶん……ちょっと試してみますか?」


「お願いします」


なるほどね?

地図に印をつければ別に喋れなくたって場所は伝えられる。

良いと思いますっ。


問題は分体が地図を理解できるかってとこだけどー……それは試してみるっきゃないよね。


「それじゃ、どこか空いている部屋で」


「はい」


とりあえず空き部屋に移動してっと。いずればれそうだけど、あの場で出したら騒ぎになりそうだしねー。


って訳で分体かもん!





「……デフォで裸なの忘れてた」


ええ、全裸で出てきましたとも!


ぶっ殺されるかと思ったけど、リタさんすっごい冷静に見ててそれはそれで興奮する。


……いや、俺は何を言っているんだ。


「本当かニャ?」


ほら、へんなこと考えるからタマさんが疑ってるじゃない!


……まあ、とりあえず顔も隠せる衣服用意してもらうことにしたので、今後はこんなことはないだろう。

ないよね?




んで、試した結果だけど。

ちょっとそのタマさんに遠くまで行ってもらって確認したところ、分体はきっちり地図を見て場所を指し示すことが出来ていた。何体も用意すればその分索敵範囲を拡大できるというおまけつきだ。

なんだろね、根っこからめて何かやり取りしてるんだろうかね。

いやあ、優秀ですね。


とりあえず使える事が分かったので、今はギルドの一室に地図に書き込むようのを一体、で街の周囲に距離を取りつつ10体ほど分体を配置している。


ギルドの一室には俺の分体の他にギルドの職員が一人常についている。

最初はリタさんがやるらしく、今は分体設置し3人で雑談をしているところだ。

話題は指導者について。やっぱそろそろ来るって分かってると自然と話題もそうなるのよねー。




「とりあえず半径50kmは索敵出来るようにしたから、あとはいつ指導者が現れるか――」


なんて言った直後だった。

俺の分体が地図に書き込みを始めた。それは街からおよそ40km程度離れた森の中……ついに指導者が現れたのだ。



「――まじかい。 え、俺のせい??」


ちょっとまじでタイミング良すぎないですかねえ。

まじで俺がフラグ立てたっぽいじゃん!



「何言ってるニャ。さっさと出発するニャ」


「あ、はい……」


タマさんに呆れられた目で見られたぞっ。

喜びと悲しみが同時に来る感じたまりません。


よっし、元気も補給したし隣街までいって桃量産しますかねっ。

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