第127話 「126話」

その後、背後からぶっすりやられるとかそういうこともなく顔合わせと説明は終了した。

んで今はダンジョン入り口前で最後の打ち合わせをしているところである。


いやー、何事もなくて良かった。


「下層の手前の休憩ポイント、今日中にそこまで行きたい。 道中の敵は基本無視か、無視できない場合だけ倒していく。 魔石は取らない、で良いか?」


おー、強行軍だ。

……強行軍なのかな? 走っていくのがちと辛そうだけど、モンスターとの戦闘自体は余裕ぽいよね。

問題は俺が走ってついて行けるかだけどーまあ何とかなるでしょ。たぶん。





何とかなりました。

やっぱ戦闘より走るほうが疲れたけど、別に全力ダッシュ!てほどじゃ無かったので意外といけた。


休憩ポイントは岩肌にぽっかり空いたちょっとした広場ぐらいある空間であった。

みんな到着するとすぐに荷物をおき、適当に石や薪を集め竈を作ってご飯の準備を始める。やっぱみんな手馴れてるねー。


俺たち? お昼の残りとハナに作ってもらった豚汁温めておしまいですよ。 簡単だけど美味しいし、いいよね。


「ご飯ご飯。 タマさんデザートいる?」


「ニャ」


さらにはデザートまでついちゃう。


「タマさん! デザートでしたら――」


「ほい」


「――で、でかい……」


甘いぜ。

果物勝負なら負けんぞっ。


タマさんには特大リンゴを出しちゃおう。

あとはー。


「ゴリさんも。 というか皆さんどうぞ」


俺たちだけ食うのもあれなんでみんなにもおすそ分けしよう。

出すのはコスパのいいバナナだ、ゴリさんもいるし丁度良いでしょ。


あ、ちゃんとケモナーさんにも上げてますよ?

一人だけやらないとかそんなことはしませんとも。


「ぐ……おいしい」


ふふふ。

そうでしょうとも。


「ウッドと一緒だとうまい果物食えるからな、ありがてえわ」


甘味貴重だしねー。

ここにいる高レベルな人たちにとってもそれは変わりない。

まあ、とろうと思えばとれるんだろうけどね、俺が作るような果物はまず手に入らないだろう。


「……な、なあウッドだったか? お前さんこいつをギルドに卸したりはしないのか?」


おう、久しぶりに聞いたセリフが……あれ、初だっけ?

ま、まあいいや。 とりあえずギルドには卸せませんよーと言っておかないとだね。


「んー、こうやってダンジョンの中で少し食うぐらいなら良いんですけど……ちょっとこの力に制限というか厄介なとこありまして。 そこの木でいいかな、ちょっと見て貰えます?」


「? この木がどうかし……!?」


俺の言葉にしたがって木を見た瞬間、吸い取る対象をその木一本にしぼる。

その途端、木はみるみる葉が落ち、渇き、朽ちていく。


……あ、あれこんな強烈だったっけ? ちょっと回りみんな引いてない??


「こんな感じでまわりから栄養?とかそんな感じなのを吸って果物作ってるんす。 今は根っこ張り巡らせて索敵ついでに広範囲から吸ってるんであまり影響ないですけど、ギルドに卸すぐらい大量にとなると……」


まあ、なんとかなるべ……。

これで納得してくれないなら……別にどうもしない、単に卸さないだけだし。この人にはもう上げないだけである。


ふふふ、レベル上がってきたからそのへんはちょっと強気なのですよ。


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