ワクワクさんとゴロリの作って楽しい! ぐちゃぐちゃデザート作り


 

 今回は、みんな大好きイチゴのショートケーキを作っていく。おっと、失敬。非リアの皆様方はショートケーキが、クリスマスによく食べられるっていうだけで恨みがましい堅物というふうに思われるかもしれない。だが、安心してほしい。やってもしないで諦めるのは人間の悪い癖であり、ケーキ作りと聞いて「自分には無理だ」と勝手に決めつけるのはよくないことだ。今から僕が簡単ですぐにできるケーキのプロセスを伝授していくから、とにもかくにもその通りに実践してほしい。そして、ぜひ画面の向こう側にいる君の推しと一緒にシェアして食してもらい。


 さあ、まずは材料を紹介していくよ。


〇スポンジ生地

 薄力粉     100g

 卵       三個

 グラニュー糖  100g

 無塩バター   30g

 バニラオイル  少々


〇シロップ

 熱湯      大さじ2

 グラニュー糖  小さじ2

 好みのリキュール小さじ1 


〇ホイップクリーム

 生クリーム   1.5カップ

 グラニュー糖  大さじ2.5

 好みのリキュール小さじ1


〇イチゴ     1パック

  


 はい、これらは全て使いません。家庭にあるもので代用していこうというのが今の私のマイブーム。さっき決めたばっかだけど。


 さあ、まずはスポンジ生地を作ってこう。ここで早くも今回の山場だ。ショートケーキはホイップクリームとイチゴだけしか使わない。つまり、スポンジが上手くできるかに懸っているということだ。ここで一度崩れたら、あとに挽回するのは難しくなってしまう。気を付けていこう。

 

 ボールに卵を入れ、軽くほぐす。卵は鶏卵じゃなくて、両生類か爬虫類のものがオススメだ。中国の山林から直輸入したものだとなおよし。そしたらグラニュー糖の代わりとして、心がHighになる粉を入れよう。お子様は取扱いにご注意してほしい。湯せんにかけながら八時間ぐらい混ぜて、十分に泡立てる。今度は、先ほどとは別の組から入手した白い粉を散らしながら入れる。これで完璧だ。


 そして、粘りが出ないように粉と生地を切るような感じで混ぜ合わせていく。混ぜ具合が足りないとダマになってしまうから気を付けるように。粉が全体に行きわたるよう丁寧にゴムべらを動かすといいだろう。回転させながらやると効果的なので、ボウルをろくろの下の台に置きギュルンギュルン高速回転させてもいいかもしれない。


 混ぜ合わさった液体を丸い型に流し込み、オーブンで地獄の炎に焼かれてもらう。ここでためらわず、非情な覚悟を持って灼熱の刑にぶち込むことが大切だ。いつまでも感情移入してはならない。時に残酷さを垣間見なければいけないのが、料理をする者にとっての宿命である。


 次に、ホイップクリームを作っていく。もちろんクリームが冷蔵庫に常備されているわけじゃないから代用品を探すべき。そうだね、トイレットペーパーを二、三個溶かして混ぜ合わせるといい。在庫はいくらでもあるらしいから、甘党の人は三十個でもいいよ。味付けにシャンプーやボディーソープを入れるのもオススメだ。


 さあ、出来上がったホイップクリームをスポンジ生地にべったり塗りたくっていく。下準備として、スポンジを横半分にスライスしよう。地球を赤道に合わせてスパーンと切ったようなイメージだ。これをきれいに二等分するのはとても難しく、どうしても気になる人は剣豪を連れてくるほうがいいだろう。そして、下半球の面にクリームを塗っていく。円のふちにそって、魔法陣をつくるみたいにイチゴも並べよう。ムードを出したい人は魔女のコスプレをして、悪魔呪文を唱えるといい。たぶん、君が恨みを抱いている人がバタバタと死んでいくから、警察に疑われないように注意するべきだろう。


 さて、スポンジの上半球で蓋をし、全体をクリームまみれにしていこう。今から結婚式を迎える我が妻にウェディングドレスを着せるよう、きれいにそして時間をかけて装飾をする。その美しさに見とれて抱きしめるのだけはやめてもらいたい。返ってくるのは妻の腕などではなく、自分の服に付着した生クリームの残骸だけだ。お母さんに泣かれるから、バカなことはやめよう。


 当然のことながら、スポンジは真っ平ではなくデコボコとしている。ポイントは、薄く塗って下地を作りそこから仕上げのクリームを塗っていくこと。時間があったら、今度はシベリア送りの刑だとばかりに冷蔵庫で冷やして固めてもいい。まずくならない程度にね。死んでたまるか。


 

 ようやく仕上げの段階。余ったホイップクリームは湯船に放り込んで泡風呂を楽しむのもいいと思うけど、Twitterで叩かれてしまうからそれなりの覚悟を持てない限りは避けておこう。僕のように、街でコンビニを発見すたびレジに百個ぐらい眠眠打破を持っていって店員に社畜アピールをするぐらいの意気がなければだめだ。炎上商法は君たちにはまだ早い。


 ここでは絞りだし袋という、ケーキの上にある丸い形のしたクリームを作るための特殊兵器を使っていく。一つ一つ懇切丁寧に、今まで朽ちていった戦友の名前を呼びながら絞っていくといいだろう。涙でケーキが濡れないようにね。そして最後に、イチゴをばら撒いていく。今回のイチゴは、群馬県の電子部品製造メーカーから届けられた産地直送のものである。きっとおいしいことでしょう。


 以上で全行程は終了だ。今から、近所のおばさんに試食させて感想を聞きに行ってくるから、楽しみにしておいてほしい。


 








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