スマホをなくしただけなのに。
スマホがない。
会社帰りの夜。いつものように退社し、電車に乗って帰宅する。毎日のルーティンとして自宅近くのコンビニによることも忘れずに。
気づいたのは、今さっき。普段、あの硬い長方形の感触はコートの内ポケットにあるはずだったが。ついでスーツの胸ポケットを探してみたが、ない。
あれ、おかしいな……。
まずは身体検査。ありとあらゆるポケットに手をあてがう。何かしらの物の感覚はあるが、出てくるものは総じてくだらない物。ハンカチだったり、駅前で配られていたティッシュだったり。
ここにない。ということは。
カバンだ。会社のカバンをひっくり返し、あるはずのスマホを探索する。ノートパソコンを机に引っ張り出して、紙の資料をそこらへんに放り投げる。底までしっかりと手を当て、あるかあるかという。
ない。ここで、嫌な汗を掻いてきた。寒気がする。
まさか……落とした? いやいや、そんなはずは。いつもちゃんと胸ポケットに入れてあるものが、どうやって外に飛び出すのだろうか。穴が開いていれば別だが、そんな故障はない。ということは、どこか別のところに入れてあった……。
思い出せ。さっきまでの行動を。
駅まで。電車ではスマホを使っていた。そうだ。だから、会社に置いてあるということはない。そして最寄り駅で降りた後は、ちゃんとコートの胸ポケットにしまった。これは覚えている。
ということは……コンビニだ!
そうだ! 漫画の新刊をチェックするために雑誌コーナーの前でスマホを開いたんだ。
部屋をはじき飛んで、レジ袋が置いてある台所へと向かう。中には、夜食べる弁当と朝のパンが入っている。この中だぁー、と手を突っこんだ。
あの感触がきた。
待ちに待っていたぞー! とスマホをガサァアっと天にかざした。
00:00:05
真っ暗な画面に、赤い文字でそう表示されてあった。
4,3,2,1……
「え?」
0
「卯羽あぁああああああああああああああああああ」
ドーン!
爆発した。
チャン、チャン♪
HAPPY END
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