第3話

ピンポンピンポンと立て続けに何回もチャイムが鳴っています。

家の者たちは皆、寝静まっておりましたから、うるさくて仕方がありません。

起き上がって、

「なんでしょう?」

と答えました。

「おたくの娘さんが座り込んでいますよ」

要領の得ない言い方です。

けれど家の者は、はっとして彼女の寝室を覗きに行きました。

窓が開け放たれて、布団の中は、からっぽです。

家族の人は、少し蒼ざめました。

しかし笑顔で、善良な赤の他人に応対します。

ガチャリ、

と扉を開けて、

「どうも失礼いたします」

「なんて言ったらいいのでしょう、ごにょごにょごにょ」

最後のほうは聞きとれません。

「やははは、もう、娘が、どうもありがとうございます」

恥ずかしさを堪えながら、何とも奇妙な言葉を洩らします。


娘は病院に運ばれました。

打撲と擦り傷と骨折です。

死にたいと思っていた人は生きています。

多少の怪我も、治療を擦れば治るでしょう。

では、この人は生きるでしょうか?

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