<肉食&米食>

 とある土曜日(休日)午後六時――自宅


 ソファーでテレビゲームをしている一人の隣。

 コントローラーを持つもう一人の膝に一匹がちょこんと乗る。


「ミコッチさん、今日はお泊りですか?」

「聞かれなければこっそり居続けようと思ってたところだ! パスタは明日まで実家にいるし」

「そうですか。ではそろそろ夕ご飯の時間ですが、一緒に食べます?」

「もちろん! 今日作っていい?」

「はい。今日は特に献立を考えてはなかったようなので。では、お言葉に甘えてもいいですか?」

「よしOK! 待ってな! ――楽しみにしててな!」


 隣の一人に向かって親指で意気込みを伝える。


「……あ、もうこんな時間か。すまん、私からも頼むよ」

「任されッ!」

「私も見にいきます」


 一人と米村がキッチンに向かう。


「何をつくります? ご飯はもう炊いたものがありますが」

「丁度いい! 今日ね、チャーハンと餃子だよ」

「ほかの材料は家にあるもので何とかなりそうでしょうか?」

「ふふふ、実は持参した材料をこっそり冷蔵庫に入れていたのだよ!」

「遊びにきた最初のときですね。ビールでも冷やしに行ってるのかと思いました」

「あ、それもある」

「そういえば、なぜ今日はチャーハンと餃子なのです?」

「それはね、味と香りにパンチがあるもので元気を出すためだよ! 力強い誘惑に従えば、自然と元気が溢れるぞ!」

「みこっちさんはもう十分元気みたいですが……」

「では作りまーす!」


 ――Now Loading――


「よしできた!」

「なんて速度ですか! まだゲームのロードくらいの時間しかたってませんよ!」

「この家のキッチンのことはよくわかっている」

「それだけが秘密ではないような気がしますが……」

「よーし、食べるぞ!」

「はい!」


 盛り付けた皿をテーブルに持っていくと、今までテレビゲームに夢中だったはずの一人が席についてる。皿を持った一人が顔で見つめると、席の一人は頬杖をついて視線をテレビに向ける。


「……いい匂いがするね」

「そうっしょ? これはうまいぞー!」

「ありがとう」

「おうよ! 食べよう!」

「それじゃあ、香りが逃げないうちに」

「『いただきます』」

「では――うん、おいしい! 相変わらずというか、肉、大きいけど」

「食べ応えが違うのだよ。肉は大きくないといかん!」

「……もしかしてその『タンパク質在中』ってTシャツも関係ある?」

「いや、なんとなく選んだだけだけど」

「そっか……いろいろと主張が強い胸元だな」

「ん?」

「いや、ビール出してもいい?」

「そうだった! それ用の味付けでもあったんだ!」

「天才的発想だ!」

「おうよ!」


 テーブルにちょこんと座った米村は、冷蔵庫へ急ぐ二人を不思議そうに見ると、視線を再び手元の米粒に向ける。


「チャーハンになっても、やっぱりお米はおいしいですね」

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