恐怖の肝試し大会③

やばい。めっちゃ緊張する。


心臓無いのに。


いよいよ、その時が来た。

(レイジ!火の玉!)

(おうよ!)


今こそ、教えられたことを全部ぶつける時!



「こ、怖…」

教育担当の幽霊が、(本心なのかどうかは疑わしいが)声を漏らした。

ここまでは順調だ。


「わぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」


実は、この幽霊には内緒で「大声で驚かす」という演出を2人で考えていた。


まさかここまで大当たりするとは。


「大成功〜!」

僕達は思わずハイタッチをした。


「………」

幽霊は気絶している。頭の上にひよこが飛んでる(?)くらいだから、相当ビビったのだろう。漏らしてなければいいけど。



「いや〜、君たちにはびっくりだよ。まさかあんな事を考えていたとはね。

これで本番もバッチリだね!」

「ありがとうございます!」

練習とはいえ、ここまで驚かしてしまって申し訳ない。未だに声が震えている。

「じゃあ明日、頑張ってね!」


—————————————————


8月15日(日)

今日、いよいよ肝試し大会本番を迎える。

あの幽霊からお墨付きをもらったあの方法なら、みんな驚くこと間違いなしだろう。


—————————————————


会場である森は、3日前と見違える程怪しい雰囲気になった。肝試し大会に相応しい。


『えー、今日いよいよ肝試し大会本番を迎えます!

これまでの練習の成果、充分に出し切って、子供達を驚かせてやりましょう!』

おぉーーー!!

とか何とか盛り上がっている。


どっちが楽しんでいるのやら。



僕達も持ち場につく。

火の玉の準備も、僕の喉も準備万端だ。


大会の開始を告げるサイレンが、微かに鳴った。


いよいよ、肝試し大会の幕が開く。


—————————————————


「なぁ、もう今年で5回目だぜ?いい加減飽きないか?」

「いや、全然。」

2人の少年が森へ入っていく。


「なんだ、剛ビビってんのか?」

「ンな訳ねぇだろ!さっさと行くぞ。」


最初の仕掛け「動く人形」。

ここは毎年恒例で、気を抜くとマジで怖い。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!?」

「めっちゃビビってんじゃんw」

「び、ビビってねぇし」

いや、ビビってんだろ。


2つ目の仕掛け「不気味な笑い声」。

ここは、ただただ笑い声が聞こえる、という一見して手抜き感満載だが、怖い人には怖いらしい。


「え、、怖くないんですけど。」

しかし、これだけでは終わらない。

「え、ちょ待て

超くすぐったい!!!」

実は、ここでは怖がらない子供に、問答無用でくすぐる、という(絶対要らない)サービス付きなのだ。

「まwwwwwww待ってよwwwww」

「大丈夫かお前」


3つ目の仕掛け「のっぺらぼう」。

肝試しでは定番だが、ここののっぺらぼうは一味違う。


「えぇーん。」

「気をつけろ、これはのっぺらぼうパターンだぞ。」

「えぇ…(困惑)」


「…みぃたぁなぁ?」

「ひ、ヒィ!!!」

滅茶苦茶ではあるが、とりあえず襲う。これがここのやり方である。

「タイムタイム!!まだ見てないでしょ!」


その後も2人は、様々な仕掛けをかいくぐって、いよいよ最後の仕掛けになった。


最後の仕掛け「火の玉」。

ここは、今年初実装らしい。


「気をつけろ、ここだけは毎年ある物では無いらしいぞ。」


ヒュ〜〜〜。

不気味な音が聞こえる。

「!?」

2人の目の前には、緑色の火の玉が現れた。

これだけでは終わらなかった。


「よ、よし。もう抜けられるぞ…」


「わぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」


「「ぎゃぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!!!!??」」


「ま、マジで怖いぞ!!!」

「逃げろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


「よっし!成功だな!」

エイルとレイジは、達成しきった様子だ。


—————————————————


まぁ、そんな感じで肝試し大会は盛り上がり絶頂のまま終わりを迎えた。


「みんなお疲れ様ー。

よく頑張ったねー!」



僕の幽霊としての夏は、ここで終わりを告げた。


第3夜 真夏の肝試し大会 完



ア「今回、話少なすぎではないかしら?」

作「反省します…」

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