恐怖の肝試し大会②
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8月14日(土)
肝試し大会前日となった今日。
みんな準備に練習に大忙しだ。
もちのろん僕も練習するけどね(泣)
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「もっと!腹から声出して!」
いや、身体無いし無理でしょ。
僕らは、昨日準備を済ませたので、今日は特訓をするらしい。今更やっても手遅れな気がするけど。
「ほら、もうちょっと頑張ってよ。
子供怖がらないでしょ!」
んな無茶な。
僕とレイジは、火の玉の担当をする事になった。一見楽に見えるが、実はそう楽ではない。
効果音を準備しないため、自分達で効果音を出す。漫画みたいな、「ヒュードロドロ」とか、リアルに再現しないといけないみたいだし。
はっきり言おう。この仕事、鬼畜すぎる。
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「よし、音はこれぐらいでいいか」
はぁ、やっとだ。
かれこれ音の練習だけに2時間も費やした。幽霊なので身体はないが、身体が重い。
てか、僕元々肺活量が絶望的なんだった。道理で、レイジが楽そうなんだ。
休む暇もなく、僕らの教育担当の幽霊(というか妖怪?1つの目の人間だ)がこう言った。
「よし、次は火の玉を動かす練習しよう。」
え、楽そう…?
…はっきり言おう。この世には"楽"というものが存在しない。
さっきの発言とは裏腹に、ものすごい細かい所まであれこれ言われるので、正直追いついて行けない。
誰がそんなミリ単位まで見てんだよ…
こだわる所にはとことんこだわるくせして、こだわんない所はまじでこだわんない。
だってこの火の玉、よく見たら百均のライトを適当な木の枝と釣り糸につけてるだけだし。
細かい所気にする前にこういう所気にしろよ…
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「練習はこれぐらいにして、実践練習してみよーか。」
その言葉が放たれたのは、練習開始から4時間が過ぎた頃だった。現在時刻は午前1時。
「僕があっちから歩いてくるから、君たちはさっきまで教えたことを充分に発揮して、僕を驚かせてみてくれ」
実験台お前かよ。
そう言って幽霊は暗闇に消えていった。
「なぁ、エイル。
音ってどうやって出すんだっけ」
おいおい冗談だろ。
「絶妙に低い声で、『ヴヴヴ』とか呻いてればいいんじゃない?」
「おぉ、ありがとう。」
こいつは馬鹿なのか。
「じゃあ、行くよー」
はーい、と返事をして、定位置に着いた。
幽霊到着まであと2m。
心の準備はいつでもOKだ。
そして、いよいよ肝試し大会の幕が開く。
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