魔術師の猫

「はぁー!午後に飲む紅茶は美味しいわねー」

「いやもう午後って言うか深夜ですけど」

頼まれていた虫退治がようやく終わり、僕はゆっくりしていた。

「そういえば、あの落し物、未だに落とし主が現れないわね。

そろそろ中身開けてみようかしら?」

「やめて下さい。絶対にやめて下さい。責任とるの僕でしょ」

「チッ。バレたか」

幽霊になって以来、この人に振り回されてばかりいる。まぁこの人元々おてんば少女らしいからしょうがないか。


ピンポーン。

ドアベルの音が鳴る。この時間に人が来るのは滅多にない。

「はいはーい、今行きまーす。」

扉を開ける。


「爆炎!」

「へ?」

すると外で爆発音が聞こえた。

「あのー、どちら様?」

「我の名前はミー、魔術師の猫であrrrrrrrrrrrぅ!」

僕とアリルはこう思った。


まためんどくせぇの来やがったな……


—————————————————


「あの、今日はどう言ったご用件で?」

「私が落とした箱がこの屋敷にある筈なんだが」

「あーー……

あれね、ちょっと待ってなさい。」

アリルはあの空部屋にある落し物を取りに行った。

「あぁ、ええと…ミーさん、でしたっけ?」

「はーい!そうでーす!」

なんだこのハイテンション。ついて行けない。

「あなたは猫人間ですよね?」

「そうだよぉ!」

「猫人間って幽霊なんですか?」

「いや、幽霊ではないが、幽霊を触ったり話したりできる。まぁ妖怪的なものかなっ!」

出た。出たよ。妖怪(的なもの)が出たよ。ここに来て出たよ。

まさか初めて会う妖怪(的なもの)がコイツだとは……トホホ。


「これね?その落し物ってのは」

アリルが戻ってきた。

「あーそうそう!ありがとう!」

「中には何が入ってるの?」

「この中には、確か『ライトリボルバー』の欠片と、人形が入ってた気がする」

「『ライトリボルバー』の欠片!?

これで三つ揃うじゃん!」

ピル爺の解析によれば、『ライトリボルバー』の欠片は三つあるらしい。爺が一つ持っていたので、これで完成するはずだ。

「おお!そう言う事なら喜んであげるよ!私が持っていても仕方がないから!」

「ありがと!」

これで僕の武器が一つ増えた。


「そう言えば、さっきこの辺りを不審な男がぶらついていたぞ。」

一瞬アリルの動きが止まった。

「そいつ、仮面付けてた?」

「付けていたよ。ちょっとヤバめな感じ」

「じゃあそいつ、新たな"刺客"かもね。

メリアがまた手下を増やしているから、きっとそのうちの1人だわ。」

「そうか。じゃあ、私がこの屋敷を守ってあげるよ。丁度家にも困っていた事だし」

「ありがと〜!部屋は沢山あるから後で案内する。」

「こちらこそ。さぁ!そうとなれば屋敷の周りに結界を張っておいた方がいいわね!」


その時、廊下で爆音がした。

「今度はなんなのよ!」


仮面をかけた男が、こちらによってくる……!

「"宝"を頂きに来ましタ。」

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