来客者、スケルトン

この幽霊屋敷には、時々客がくる。


「今日は人が来るわよー」

アリルが言う。僕にとっては初めての来客だったから、緊張していた。

もっとも元コミュ障の僕に初対面の人と話すなんてのは難しい事だ。

人が来るだけあって屋敷中のみんなが掃除に気合いが入っている。アリルはおもてなしの準備、ブゴは料理作りで忙しい。

僕は部屋の中の掃除を任された。掃除なんていつぶりだろうか。

とりあえずほうきではいてみた。部屋の中の埃が舞う。多分この屋敷、人が来る時以外掃除してないだろう。

一通り部屋の中を見てみる。この前(第1話参照)とは違い煌びやかな部屋の内装が見えていた。

30分後、部屋は見違えるほど綺麗になっていた。これなら客も喜ぶ筈だ。

まともに掃除ができただけ成長した。


仕事が一通り終わった所で、丁度客人が来たようだ。

「あらーいらっしゃい」

どうやら彼女の知り合いらしい。見た目はスケルトンみたいな格好をしている。いかにも幽霊屋敷の客って感じだ。

「どうも。いやー久々だね、ここに来るのは。」

「ゆっくりしていってね。今日は新入りもいるから」

「新入りか、珍しいじゃないか。」

多分僕の事だろう。とりあえず自己紹介をする。

「はじめまして。僕がその新入り幽霊です」

「やあ、僕の名前はスケルトン。ど直球すぎて笑えるよね」

コミュ障の僕にしては良く出来た自己紹介だった。

「へぇー、人間型の幽霊とは珍しいな。」

「はい、つい最近まで人間だったんです。この屋敷を見つけて、幽霊になりました。」

「そうか。まぁそのうち幽霊の暮らしにも慣れるさ。頑張りな」

「ありがとうございます。」

スケルトンはそう言った後、コップに入ってたウイスキー(らしきもの)を一口飲んだ。

しばらくしてからアリルが言った。

「あなたから来たいって言うなんて珍しいじゃない、何かあったの?」

「おっといけない、忘れてた。実は今日来たのは、ここら辺一帯にある異変が起きてるんだ。」

「異変?」

なんかいかにもヤバそうだ。

「ああ、こっちでも噂になっている、魔法使いの凶暴なスケルトンの反応がこの辺りからしたんだ。そのうち攻めてくるかもしれない。」

2人とも険しい顔をしている。

「遂に来たわね…

前に一度私が封印した時もまた来るぞ、と言っていたし。」

「あいつは、特異能者ならともかく普通の幽霊の力では渡り合えないほど強くなっている。僕たちがなんとか喰い止めようとしたが、全滅した。」

そんな強い奴、僕らに止められるのか、そんな事すら考えていた。

「そうだ、新入りクン、僕の力を少し分けてあげよう。」

「え!?あ、ありがとうございます!」

とうとう僕にもそんな力が、しかもこんな早く付くなんて。

「光の武器を出す能力だが、あいつを喰い止めるには充分だろう。」

そう言うとスケルトンは、手から光る何かを僕に差し出した。

「これを飲み込むといい。たちまち力が備わるだろう。使いこなすには訓練が必要だが、君ならすぐに使いこなせるだろう。」

僕はそれを飲み込んだ。すると、体の中の何かが変わった(気がした)。

「そうなればすぐ準備しなきゃ。ありがとう、スケルトン。」

「ああ、こちらこそ。君たちの無事を祈るよ。」

そう言って彼は帰っていった。


ここからの日々は、今までと比べものにならない大変な日々になりそうだな、と僕は悟った。


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