不思議な瓶

あの出来事から2日が経った。幽霊というものは本当に楽しい。

僕にはまだ名前が無い。というのも、彼女(名をアリルというらしい)がこう言っていたからだ。

「名前?あー、ここでの名前はね、上のお偉いさんが付けてくれるのよ」

「え?」

何そのシステム。

「お偉いさん方の仕事を手伝ったりとか、事件を解決したりすると名付けてくれるのよ」

「へぇー…」

「だから君も、そのうち名前が付く筈よ」

果たしてそんな日がいつ来るのやら。


ご飯の時間になったので、食堂へ向かう。今日は妙に食堂が騒がしかった。

「何かあったのか?」僕は問いかける。

するとシェフのブゴが、あるものを見せてくれた。

「さっきアリルが持ってきたんだがな、この瓶が妙なんだよ。調味料でも無いし、酒でも無いし。」

何かが瓶の中で光っている。

「ちょっとその瓶貸してくれない?」

「いいけど、何するの?」

中には、液体ではなく固体の石のようなものが入っている。光の元はこれのようだ。

とりあえず、取り出してみる事にした。

「気をつけろよ、もしかしたら何か大事なものかもしれないぜ」

僕は恐る恐る瓶を持って石を取り出そうとした。

「あれ?ふた開いてるよな?」

石は一向に出てこない。石は瓶の口より小さい筈だが、口に結界のようなものが貼ってあった。

「これは……」

ブゴが何かを言おうとした次の瞬間だった。

「…!みんな!伏せろ!」

誰かの声と同時に、その石は音と光を立てて激しく爆発した。




「う……」

奇跡的に無傷で済んだ。他のみんなも無事のようだ。

「なんだ?いまの」

石は無くなり、瓶は跡形もなく砕け散っていた。

すると、誰かの笑い声が聞こえてきた。

「アッハハハハハ!

ドッキリ大成功〜!」

「「「「はぁぁぁぁ!?!?」」」」

どうやら、アリルが仕掛けたドッキリらしい。

「ふざけるのも大概にしろよ!!?

マジでビビったぞ俺ら!」

「ご、ごめんwwwwwww」

「笑って済む問題でもないよ!?」

「おかげでご飯の時間延びたじゃん!」

「まぁいつもの事でしょwww」

「「「お前な!!」」」

結局そのあとみんな仲良くご飯を食べたとさ。めでたしめでたし。



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