第1話 朝の雑談

「やめっ‥ろ‥」


目を開くとそこは天井だった。

どうやらさっきのは夢だったみたいだ。

額にはまだ嫌な汗が流れている。

まだ5月の下旬だというのに妙に部屋は暑かった。

さては母さんがクーラーを止めたんだろう。

暑さのせいで少しイラっとしながらオレは時計に目をやるとまだ7時前だった。

いつもより早い時間だが、オレはクローゼットから制服を出して着替える。


オレの名前は、石川 涼(いしかわ りょう)

オレの身長は162cmで普通の男子高校生より低い。そのせいでオレは大事な部活を辞めたんだ。

着替えを終え、そのまま一階の台所に向かうと母さんが朝食の準備をしているみたいだ。

テーブルを見るともうオレと父さんの分の弁当はできていた。 


「おはよ」

「おはよう。今日は、早いのね。あぁ、水筒いるの?」

「ん、一応。」


そう言うと母さんは、スポーツドリンクを冷蔵庫から出して来た。


「それじゃないって。もうお茶でいいんだよ」

「あ、そうだったわね‥」


少し悲しそうな顔をする母さんを見てオレはズキリと心が傷んだ。


「美紀~!ネクタイ結んでくれー!!」


‥‥空気読んでくれよ‥


空気を読まずに来た父さん呆れた様子で見るオレと母さん。


「ん?何でダメだコイツみたいな目見るんだ?」


その後、母さんにまで

「空気読んで」

と怒られていた父さんには笑ったけど。

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