センパイ、好きです。

苺色 アリア

プロローグ

ダンダンと体育館にボールの打つ音が響き渡る。

仲間にパスしようにも敵にふさがれてしまっているオレのチーム。

あいにく敵はオレに目を付けていないようだ。

今がチャンスだと思い、大声で


「バスっ!」


敵がオレに目をやる頃にはもう遅い。

ボールは、オレの手の中にあるんだから。

オレはそのままゴールを目指してドリブルをする。

敵チームがオレを止めようとするがするりと抜けられる。

"今日こそはシュートが打てるかもしれない〝

そんな何の根拠もない期待を持っていると、

足に何かが引っ掛かり転けてしまった。

急いで起き上がるともうオレのところにはボールはなく、敵チームのヤツがあざ笑うようにオレを見ていた。


それからもオレのミスで次々に敵チームに点が入っていった。


結果は…

32対21


その結果を見てショックを受けていると


「なんでコイツがいるんだよ…」


仲間のそんな声が聞こえた。


「自分の大きさ考えろよ」

「チビのくせに」

「チームの足でまとい」


次々に聞こえてくるオレの悪口。

おそるおそる後ろを振り向くと

全員がオレを蔑んだ目で見てくる。

"そんな目でオレを見ないでくれっ…!〝


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る