第7話 神田さんのシンクロニシティ その2

 神田に言われるがままに、彼女のお茶をもう1度飲んだ俺達の意識は再び消え、目が覚めると先程までの違和感は嘘のように消えていた。


 いったいさっきのは何だったんだ。


 そんな疑問を残しながらも神田が話しを進める。


 「....まず早崎さん。」


 まずって俺にも話しを振るのかよ。


 「、気付いたのはいつ頃ですか。」


 「ちょっと待っててね。」


 そう言った早崎は少し考える様な仕草をとり、しばらくしてから、


 「うーんと....3日前ぐらい....かな。」


 と、答えた。


 やべぇ。可愛い。


 神田も十分美人なのだが、ルックスと仕草のリンクが「可愛い」にいい具合にマッチしているのは圧倒的に早崎だ。

 てか、今の神田は可愛いというよりも美しい寄りだもんな。うん。


 そんな、気持ち悪い俺の持論はおいといて


 今朝の件ってタップダンスのことだよな?「タップダンスに目覚めたのはいつ頃ですか。」的なあれか?神田はあの早崎のタップダンスに感動でもしたのだろうか。

確かに、魅力的だったかもだけど相当やばかったぞ、ホントに。


 まぁそれはそれとして、神田は早崎の答えに少々戸惑っていたがどうやら自己解決できたらしく、しばらくしてから、


 「....そうですか。」


 と、ポツリ1人呟いた。そして、体の向きを変えると、


 「....では竹内さん。」


 と、話す相手を俺に変えた。そして、予想外の質問を俺に投げかけてきた。


 「....竹内さんは、魔法についてなにか知っていることがありますか。」


 .....HA?

 イマナンテ??


 全く何を言っているのか理解できなかった。

 っつうか?何??....魔法??そんなの現実リアルに存在するもんじゃないっしょ。


 .............!


 あぁ。もしかして、そう答えれば正解だった系のあれ?


 そんな、馬鹿な結論に行き着いてしまった俺は、


 「現実リアルに存在しないものってことしか知らねぇんだけど。」


 と、誇らしげに言ってやった。しかも、少しかっこつけて。我ながらアホである。


 そんな、俺の反応を見るや否や神田は目を丸くして、口をぽかんと開けて唖然としていた。


 .....あれ?俺なんかまずいこと今言った?


 俺が心配して、取り敢えず謝ろうと思ったその瞬間。


 .....クスッ


 神田の小さな笑い声が聞こえた。逆に今度は早崎と俺が唖然とした。その風景は第三者が見たらなんとも言えない程カオスであっただろう。


 しばらくして、神田の笑い声が一段落し、空気が再びシリアスなものへと戻ると神田はゆっくりと話し始めた。

  

 「.....早崎さん、竹内さん。これから大事なお話しをします。」

 

 .....ゴクリッ


 こういうときは自然に唾を飲み込んでしまうものだ。


 「この学校には早崎さんと同じ様に魔法が使える人が十人います。その中で、私自身が確認済みな魔法使いは三人。私と、早崎さんと私達と同じクラスの鶴岡さんです。」


 「おいおい、ちょっと待ってくれよ。」


 流石にこれは止めた。


 「さっきから魔法がどうとか、何言ってんのかさっぱり付いてけねぇんだけど。」


 俺はさっきからの疑問を神田に率直にぶつけた。


 「......まぁ、その様な反応を取るのもおかしくないと思います。ですから先程直接お見せしたんです。正式にはの方が正しいかもしれませんが。」


つまり、さっきの違和感は神田の魔法とやらが関係していたってことか?だとしても疑問がいくつか残るだろ。


 そう思って質問を続けようとしたが、早崎に左手で制された。どうやら、早崎は神田の話しを最後まで聞きたいらしい。


 「まだ、疑問がたくさん残っているのは重々承知ですが話しを続けさせてもらいます。話しは今から約200年前。丁度、カ◯ピスが販売され始めた時代まで遡ります.....。」

 

 いや、今その情報必要ないだろ。


 早崎に止められている俺は心の中でそう思った。


 「アンパ◯マンの作者が産まれた時代まで遡ります....。」


 へぇ〜。.....って、だからその情報も必要ないだろって。


 「さらにさらに、ジョン・プレ◯パー・エッカートが産まれた時代まで遡ります。」


 いい加減話しを進めろよ。ってか、誰だよ『ジョン・プレ◯パー・エッカート』って。


 .....と、言いたいところだが早崎に止められているので心の中に抑えておいた。正直、こんな自分が情けない。


 「1919年といってなにか思い浮かびませんか?」


 ピンポイントで年言うんなら最初から言えや。


 と、俺が突っ込もうとしたのも束の間。


 「19が2つ並んでいるね。《キラーン》」


 今度は早崎がボケだした。


 おいおい勘弁してくれよ。確かに『1919』で19が2つ並んでいるかも知んねぇけど、それとさっきの魔法とやらにはなんの接点もないだろ。ここはもっとこう、世界大戦かなんかが関係してくるSFチックな.....


 「流石早崎さん。飲み込みが早いですね。」


 当たってるんかーい。


 「西暦で四桁の数字を上二桁と下二桁に分けたときに、2つの数が一致する年は時代の境目となっていて、この日本のどこか地下で眠る十個から成る神器しんきが、形なき者。....すなわち「物霊ものだま」の状態となってこの地上で奇跡を起こすんです。」


 .....へぇ〜。何言ってるかさっぱりわからん。


 そんな俺のことなどお構いなしに、神田は話しを続ける。


 「そして、その奇跡の一つが、早崎さんあなたの上履きです。」


 ほんとに何言ってんのかわからん。


 竹内の思考回路はショート寸前なのであった。






 

 


 


        

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