第3話 竹内くんは呼び出しをくらう
その日の授業には集中できなかった。
なんせ、朝から情報量がハンパなかったからな。うん。
そんなこんなで絶賛英語の授業中。
テスト3週間前だと言うのに、英語が苦手で、且つ全く集中していなかった俺の頭の中は、
She is so cute!
の英文で埋め尽くされていた。我ながら馬鹿だと思う。
そんなもんで、
「....竹内。睡眠学習するな。」
と、50分の授業の間に7回も注意されていたらしい。
ぶっちゃけ『She is so cute!』で記憶がとんでいたので覚えていない。
....それと、これは後から聞いた話なのだが、俺は授業中、白目を向いていて、口がぱかんと開いていて、なぜか空の方に顔がいっていたらしい。
....完全に末期だな。
誰も生存確認してくれなかったことが悲しい。
🏃💨🏃💨🏃💨
キーンコーンカーンコーン
4限が終わり昼休みという名の少休憩に入るや否や、俺の席の前に男子が殺到してきた。.....それはもう雪崩みたいに。
そんで、あろうことかそいつらがさっきから俺の顔をじーっと見つめてくる。
正直、きもちわるい
現代高校生の60分休みは短いんだぜ。早よ飯食え。飯。俺も食うから。
内心、そう思った。
しかし、そんな俺の優しさ(?)に反して、
「翔真〜。お前抜け駆けしやがって〜。」
と、俺と一番仲のいい秀哉がニヤニヤしながら言ってくる。そして、それに続くかの如く、その他男子が、「そうだ、そうだ」と言わんばかりにこっちを見てくる。
ついでに、『翔真』は俺の下の名前だ。
どうやら、朝のあれがもう広まっているらしい。
....ってか、拡散のスピードエグない?音速ですか?
向こうでは女子がこっちを見ながらヒソヒソ話しているのが視界に入る。その中には女子Aこと神田もいて、申し訳なさそうにこちらを見ている。
悪意が生まれるなら最初から話すなよ。
....あ。今、目そらした。
クラスの中で浮くのはあまり好きではない。だが、早崎と浮くなら悪くはない。
だって早崎だぜ、あの。むしろ嬉しい。
そんなことを考えながらも、顔に出したら絶対にキモいので、すがしかおでクールに弁当箱に手を伸ばしていく。今日は唐揚げ入っていると母が言っていた気がする。
刹那、俺の手の動きが止まる。その原因をつくったのは秀哉だった。
「まぁ、フラレたぐらいでそんな落ち込むなよ。」
......ン?
聞き捨てならない言葉が聞こえたような気がする。それに、憐れむような目で見つめてくる秀哉の視線がきつい。
さらに、そんな俺に追い打ちをかけるかのようにその他不特定男子が、
「ドンマイ」
「ハードルが高すぎたな」
「翔真、男は振られて強くなるもんだぜ《キラーン》」
などと、訳のわからんこと次々に言ってくる。
ミンナ、ナニイッテンノ?ダイジョウブ?
俺の脳の機能は、生きるのに最低限のパワーを残して大変なことになっていた。どうやら皆、勘違いしているらしい。しかも良からぬ方向に。
そんな中、放送がかかった。
『生徒の呼び出しをします。1−A竹内君。放課後、作法室前に来てください。」
作法室で何すんだよ。
俺はもう完全にKNOCK OUT状態だった。
今日は濃すぎる。
例えるなら、原液カ◯ピス以上だぜこれ。
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