コミュ障超発揮

 一人で取調室の中で待っていると重そうな音をさせながら扉が開いた。扉から刑事さんが先に入室し後ろから被害者の少女が入ってきた。少女は僕の正面に座ると

「本当にありがとうございました。実はあの人にここ一週間触られ続けていたんです。あなたが居なかったらこれからも辛い気持になっていたと思います。本当にありがとうございました」

「えっあっいえ、そんな...」

僕が何と返そうか焦っている中彼女はと刑事さんとともに部屋を出ていった。

 次の日部活が始まるまで体育館でスマホを触っていると見覚えの少女が入ってきた。彼女は僕の顔を見ると何か気付いたようでこちらに向かってきた。

「あっ!昨日の方ですよね!同じ部活だったなんて気づきませんでした!」

そう、昨日痴漢を助けたあの少女だった。僕は何と返そうか迷っている間もなく彼女の友達の部員が来て「では、後ほど!」と言ってそちらの方へ向かっていった。同じ部活の部員なのに知らなかったなんておかしな話だが男子と女子の交流がほぼ皆無のうちの部活は女子のことは部長副部長の顔と名前ぐらいしか誰も覚えていない。僕がコミュ障をこじらせた原因もこれかもしれない。少し待っていると僕の友達が来始めた。

「おい!お前、昨日電車で痴漢消し飛ばしたんだってな!やるじゃねえか!」

僕の友達はすごい勢いで話してきた。ただ僕相手にはこんな勢いだが所詮僕の友達なので初対面の人の前になるととても大人しくなる。

「うん、まあ、ね」

僕は苦笑いしながら答えると友達は続けて聞いてきた。

「で、その人は可愛いかったのか?何歳くらいだった?どんな性格だった?????」

「えっまあ、ね?教えるなとも言われてるし、ね」

その人が十数メートル先にいるなんて口が裂けても言えないのでとっさに適当なことを言っておいた。彼女に聞かれていないか少しチラ見してみると友達と雑談しており気付いていない様子で胸をなでおろした。友達がバツの悪そうな顔をしているとすぐに顧問が体育館に来て練習が始まった。

 練習が終わり駅で電車を待っていると昨日の少女が横にやってきた。

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コミュ障が痴漢されている人を助けたら恋人になりました 楽園ロング @Rakuen-Long

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