ブレグラン国の大臣ハンス=パイル
ここはブレグラン国の首都アザレア。あれからルナソルはラザリオを抱え城へと辿り着いた。
その後、ルナソルとラザリオは城の者により救護室へと運ばれ治療をした。
ラザリオは重傷を負っていてまだ目が覚めず、ルナソルは深い傷を負ってはいたが動ける為、一晩救護室で休んだ後、しばらくは治療しつつ休養を取る事になった。
そして翌朝、ルナソルは朝食を済ませると、救護室でラザリオの様子を見た後、ネフロスの側へと行き看病をしながら考え込んでいた。
(……この事をハンス様に伝えても良いの?)
ルナソルは悩んでいた。
(あの時は必死だった。ラザリオだけでも助けたいと……それだけだったのに、ユリナシアは私までも見逃してくれた。あの状況下だったからなのかもしれない。だけど、そうだとしても……でも、どうしたら?ハンス様には報告しなければならない)
ルナソルはネフロスの顔をじっと見ていた。
(ネフロス。私はどうしたらいい。全て話すべきなの?それとも……)
そう考えながらルナソルは立ち上がり、
「ふぅ、ここでこうして考えていても、何の解決にもならない。それに報告はしなければならないしね」
そう言うとルナソルは救護室を出てハンスが待つ書斎へと向かった。
場所は移り、ここはこの国の大臣ハンス=パイルの書斎。ハンスは机により掛かり、ルナソルが報告に来るのを待っていた。
ハンス=パイル、金色で白髪が
頭が良く現実主義者で策略家でもあり、何事にも利益を優先し行動する。
ハンスは色々と考えながらお茶を飲みルナソルを待っていた。
(いったい、ルナソルとラザリオに何があったと言うのだ?ネフロスとラゴスに続き、ラザリオまでもが……)
そうハンスが考えていると扉を開けルナソルが入って来た。
そして、ルナソルはハンスの目の前まで来ると一礼をし話し出した。
「ハンス様。直ぐに報告が出来ず申し訳ありませんでした」
「ルナソル、それは仕方のない事。それで何があったのだ?」
「はい、その事なのですが……」
ルナソルはハンスに、ラザリオとルドバ付近の森で調査し分かった事と、何がその後あったのかを、一部の事を除き話した。
(とりあえずはこれでいい。だけど、ユリナシア達に借りを返そうと思うなら、これでは足りない。でも今は……)
その後、ルナソルは報告を終えると救護室へと向かった。
ハンスはそれを確認すると侍女を呼び、何処にラボンシルトがいるのかを聞いた。
そして、側近の者と執務室にいるという事が分かり、ルナソルから聞いた事をラボンシルトに報告する為、ハンスは執務室へと向かった。
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