ルナソルの決断

 ここはクルテルの暴走した魔法により破壊され崩れたエルラスタの鉱山。


 ルナソルは傷だらけのラザリオを抱え命からがら洞窟の外へと出た。


 だが、そこには涼香達がいてルナソルを睨んでいた。


(なんて事なの!まさか、ユリナシア達がまだここに居たとはね。どうしたらいいの?残りわずかな、私の魔力と体力では戦う事なんて無理。だけど、私1人なら逃げ切れるかもしれない。……ううん、ラザリオを見捨てて逃げるなんて、そんな事できる訳ない!)


 涼香達はルナソルがラザリオを抱え洞窟から出てきた事で警戒していた。


(クソッ、まだ回復できていないというのに……)


 ガディスはルナソルを睨み付けながら、どうしたらいいか考えていた。


(……私の代わりは他の者でも出来る。だけど、ラザリオは、今のブレグランには必要な存在。なら、ここは私が犠牲になりラザリオを救うしかない。でもどうやって?……敵に弱みを見せるのは嫌だけど、今はそんな事を言ってられないし……)


 ルナソルはそう考えながらラザリオを見ていた。


 ユリナシアはルナソルを見ながら、今の状況をどうするかを考えていた。


(まさか、ルナソルが動けるようになり、ラザリオを抱え洞窟から脱出してくるとは思いもよりませんでした。この状況で戦うとなると……それに、ここで戦闘にでもなれば、間違いなく街に甚大な被害が及ぶでしょう)


(さて、どうしましょう。私の今の状態では動く事もままなりません。それにガディスも要も完全には回復していないはず)


 クルテルは細い目でルナソルを睨み付けながら、どうしらいいか考えていた。


(クッ、どうしたらいいんだ?まだ回復も出来てないっていうのに……。それに、自分の力が後どのぐらい使えるのかも分からない。かと言ってこの場をどうにかしないと……)


 要はそう考えながら自分の掌をみていた。


(バルロス。この状況って……)


 “涼香。今のこの状況はこっちにとって不利。だが、ルナソルはかなり体力を消耗し、尚且つ負傷しているラザリオを抱えどうするか考えているはず。そうなると、ルナソルがこの状況をどう判断し仕掛けて来るかなのだが……”


(て、事は……)


 “うむ、どうなるかは、ルナソルの出方次第で決まるだろう”


(そうなんだね。そうなると、私達はここで様子を見ていた方がいいって事だね)


 涼香とバルロスはそう話ながらルナソル見ていた。


 ルナソルはユリナシア達を見ながら考えていた。


(……ただ、ユリナシア達が、すんなり私の話を聞き入れ、ラザリオを逃してくれるの?ううん、多分そう簡単に逃してくれる訳ないと思う。でも、今はそんな事を考えてる余裕はない。そうなると、ここは一か八か賭けに出るしかないわよね。……それに、他に方法もなさそうだし)

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