反撃開始
ガディスは俯向き、ルナソルとラザリオに気付かれない程度に上目使いで見ながら、2人の出方を伺っていた。
ラザリオはガディスを見ながら、
「ルナソル。ガディスはお前が見張っていろ。俺は奥にいるユリナシア達の首を取ってくる。」
「ラザリオ。大丈夫だとは思うけど。得体の知れない2人がいるから油断しないでね。」
「ああ。そうだな。」
そう言うとラザリオは、ユリナシア達の方に向かおうとしていた。
(……っう。まだ唇が腫れて痛い。さっきはいつもの癖で、声を出してしまったからな。だが、こんな事を言っている場合じゃない。どうにかして、ラザリオの動きを止めなければ涼香達が……この魔法の鎖は容易く解けるだろうが、問題はその後どうする?)
ガディスは身体を動かさず、目だけで辺りを見渡しながら考えていた。
すると、ルナソルはラザリオの方を見ていた。
(フッ、ルナソルは油断してラザリオの方を見ている。動くなら今しかない!)
ガディスは右手の剣を軽く握り直し、地に付けたまま左手に魔力を込めると、ルナソルとラザリオに気付かれないように心の中で、
(《冷気 凍結掌!!》)
唱えると左手から放たれ、凍てつく白い冷気が地を走り、ガディスの半径10m以内にいたルナソルとラザリオの真下まできた。すると、足が地に付いたまま一瞬の内に膝下まで凍らせた。
ラザリオは凍らされ動けなくなり、
「これは、いったい何が起きた!?」
一瞬何が起きたか分からなかったが、まさかと思いガディスをみた。
そして、ルナソルも凍らされ動けなくなり、
「これはまさか!?ガディスが魔法を?だけど、いつ放ったと言うの。」
ルナソルはガディスが何をしたのかとみた。
そして、ガディスは一息吐くと、すかさず全身に魔力を込め冷気を放出し拘束していた光の鎖を掻き消した。すると、右手の剣を握り直し魔力を注ぐと、一瞬の内に冷気が刃を覆い包んだ。
すかさず、冷気を纏った剣をルナソル目掛け、鋭い氷の斬魔を放ち一閃した。
ルナソルは足を凍らされ動けなかったが、上半身は動けたので咄嗟に杖を翳し、
《聖光 魔解!!》
聖なる光が杖を覆い、聖なる光の魔法を放つと、斬魔を打ち消した。
そして、すかさずルナソルは自分の足に魔法を打ち消す光の魔法を掛け解きガディスから間合いを取った。
その間ラザリオはルナソルを助けようとするが、足が凍り付き動けず苛つき、ガディスを睨み付けた後、一呼吸おき自分の魔力を足に集中させた。そして、足に炎の魔法を纏わせ氷を溶かした。
ガディスはルナソルとラザリオに自分の氷を溶かされ、次どう行動するかを考えた。
だが、考えている余裕はなく、ラザリオはすかさずガディスに狙いを定め攻撃しようとしていた。
ガディスはすかさず、剣を握り直し魔力を込め、凍てつく冷気が刃を覆い包むと、
《魔剣 氷結斬!!》
剣を一閃し、ラザリオ目掛け凍てつく鋭い氷の斬魔を放った。
ラザリオはすかさず斧を握り構え、向かってくる氷の斬魔を薙ぎ払った。
だがガディスは、瞬時にラザリオの懐に入り剣で斬りつけようとしていた。
ラザリオはそれに気付き、全身をフルに使い斧を振り回した。ガディスは慌てて避けたが、斧の刃が顔をかすめ軽く出血した。
すかさずルナソルは、追い打ちをかけるように、ガディス目掛け無数の光の矢を放った。
ガディスはラザリオの方に気をとられていた。その為、後方からルナソルが放った魔法に気付いた時には、既に目の前まで来ていて、慌てて避けようとするが体勢を崩し、無数の光の矢の攻撃をまともに受け傷付き膝をついた。
(っう。流石に、四天王と言われているだけはあり、そう簡単に倒せない。だが、まさかラザリオが魔法が使えたとはな。それも、よりにもよって俺の苦手な炎の魔法とは……これは、今の内にどうにかして倒さなければならない。それに、長引けば長引くだけ厄介かもしれん。)
そう思いながらラザリオとルナソルを警戒しながら見て、この後どう攻撃した方がいいかを考えていた。
ルナソルは間合いを取り、ラザリオの援護をする為、杖をガディスに向け待機していた。
そして、ラザリオはこの後どう動いた方がベストなのかを考えていた。
(さて、ガディス。この後どう動く?そして、俺は……。)
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