疑心と警戒
ここは革命軍『
「……クロフ。本当にそんな事ができるとして、いったい誰が龍の山里に結界を張ったって言うの?」
「マリス。誰が結界を張ったか……俺は兵士達が言っていた事が信じられない。それに、確信もねぇのに、今ここで話してもいいのかって悩んでる。」
そう言うとクロフは考え込んでしまった。
「……だとしても、現に龍の山里は封印されたんだよな?」
「ああ、ルシル。でも……あぁ〜!ふぅ、考えていてもしょうがねぇ。やっぱ話した方がいいよな。」
そう言うとルシルとマリスは身を乗り出し、クロフは少し間をおき話し出した。
「兵士達の話だとな。異世界から来た奴が結界を張り、龍の山里を封印したって言っていた。」
「えっ?それってどういう事なの。異世界って……本当に存在するの?信じられないんだけど。」
「はぁ、信じられる訳がねぇよな。俺も未だに信じられねぇ。」
「ん〜、クロフ。それは、ないとは言い切れない。前に読んだ本に書いてあったんだけど。昔、この世界と別の世界とが繋がり、異世界から迷い込んだ者達がいたらしいんだ。」
「ルシル!ちょっと待て。その本に書かれていた事って実際あった事なのか?まさか実際あったのかどうか分からないって訳じゃねぇよな?」
「それはないとは思う。確か部屋にその本があったはずだけど。持ってこようか?」
「もし、その本に書かれている事が事実なら、兵士達が言ってた事が、本当にあったって事になる。」
「確かにね。でも、本当に別の世界ってあるのかな?」
「マリス。他の世界が無いって断言出来ないと思うんだ。まぁとりあえず部屋から本を持ってくる。」
そう言うとルシルは広間から出て自分の部屋に向かった。
そして、クロフとマリスは広間で話しながらルシルが戻って来るのを待つ事にした。
場所は移り、ここはエルラスタの街。涼香達は鉱山の前で話をしていた。その後ユリナシアは鉱山の説明をしながら中に入っていった。
するとラザリオとルナソルは、涼香達が鉱山の中に入って行くのを確認すると、気付かれないように間隔をおき、物陰に隠れながら後を追った。
ガディスはユリナシアと手錠で繋がれていた為、自分が行きたい方に進めずユリナシアに引かれるままに歩いていた。
(ふぅ、いつまでこの状態が続くと言うんだ?だが、ここまできたからには、最後までやり通さねば、ここで心が折れてしまっては今までの苦労が水の泡になってしまう。)
そう思いながら歩いているとガディスは後方から何者かの気配を感じ、
(……ん?いったい誰だ?ユリナシアのさっきの話では、確かこの鉱山は今日は休みになっていたはず。それに、何故俺達の後をつけてきている?)
ガディスは後をつけてきている者に気付かれないように警戒しながら涼香達をみた。
(涼香達は気付いていないようだな。さて、どうする?手錠で繋がれている状態で襲われでもしたら。だが今は……仕方ない。ここは後ろの奴らの出方を見てから行動するしか方法はないようだな。とりあえずはこのまま気付いていない振りをつづけるか。)
ガディスはそう思い後方を警戒しながら、ユリナシアに引かれ歩いていた。
ユリナシアはガディスの様子が先程とは違う事に気づき、
(ガディスの雰囲気が変わったように見えるけど?いったいどうしたのかしら?)
ユリナシアは気になり鉱山の説明をしながら辺りを見渡してみた。
(気のせいかしら?警戒しているように感じたのですが。辺りを見渡しても誰もいるようには見えませんし。この鉱山には私達以外は誰もいるはずないのですけど。でも、気になりますわね。)
そう思いながらガディスをみた。
(やはり念のために、ここは警戒しておいた方が良さそうですね。)
ユリナシアは警戒しながら、涼香達を鉱山の奥へと案内した。
そしてラザリオとルナソルは、ガディスが自分達に気付いているとは知らないまま後を追った。
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