第2話 すでにゆーめーじん

 「おはよーサメルー」


 優雅に空を飛んでいく同級生に挨拶される。

 胡蝶学園の登校模様は凄まじい。生徒たちは各々の『夢』を使いこなして学園を目指す。

 『浮遊系』のドリーマーは多い。空を飛ぶなんて在り来りだ、なんて彼らは言うが在り来りでいいのだ。『夢』をなんだと思っているのか。

 『召喚系』のドリーマーも多い。龍とかユニコーンとか、どうみてもポ○モンだろそれみたいなのとか、ソシャゲですよねソレ?みたいなのとか。

俺の『夢』も広義の『召喚系』らしい。もう、どうでもいいが。


 「今日も彼氏と登校かよ。ラブラブでいいな」


 三田に肩を叩かれる。


 「冗談でもきつい。」


 「どうした?一段と暗いな?彼氏と喧嘩か?」


 カバンで三田の腹を殴る。

 

 「ごめんごめんw」


 笑いながら三田は謝る。


 「だいじょうぶ!俺とサメルはラブラブだよ?」


 わけのわからないフォローありがとう。いやありがたくない。

 返すカバンでウツツの腹を殴る。ていうか、なんで当たり前のように車道側にいるんだよお前は。


 「お前!コッチ歩け!!」


 ウツツの腕を引っ張って俺と三田の間に押し込む。


 「ちょw流石に照れるw」


 「そういう意味じゃねえ!!」


 三田はなんとも言えない顔で口をモゴモゴさせている。


 「どういう表情だよソレ」


 「いやー朝からお腹いっぱいだよ」


 三田の『夢』は雷を操れる能力だった。三田はずっと○ンピースのエ○ルをリスペクトしていたらしく、この結果は当然らしい。いいなおい。


 「三田は良いよな。雷使いとかモテ要素しか無いじゃん。イケメンだし

  スポーツも出来るしイケメンだし」


 「サメルもよく見ればカッコいいよ!」


 ウツツが俺の両肩を掴んで叫んだ。

 登校中の生徒が何人か立ち止まってこっちを見る。「うわぁ」とか「いつもの」とかつぶやいている。スマホをこっちに向けようとする奴らも居る。


 「見てんじゃねえ!」


 「どんどん拡散していいよー!」


 ウツツが満面の笑みで叫ぶ。三田はなんとも言えない顔でスマホをこっちに向けている。ってだから撮ってんじゃねえよ!!

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