第七話 逆巻!!
前足を
巻き起こった旋風を“跳びの一丸”が跳躍してかわす。ここまでは前回と同じ展開だ。
剣武台正面に位置する安国殿の屋根の高さまで跳びあがった一丸は、木刀を霞に構えて急降下した。
鷹のように急角度から舞い降りて大地に突きを見舞うつもりだ。
だが――
大地が左から右へ抜き払った木刀を今度は右から左へと巻き戻す。
――風門流抜刀術、
「なにィ!!」
一丸の顔が驚愕に歪んだ。
足元から新たな旋風が立ちのぼってくる。さっきとは逆回転の、しかも威力が倍加した凄まじい烈風である。
「うわあああああ!!」
渾身の霞の突きが大地の顔面に届く前に、一丸は吹き飛ばされた。
だが、一丸の身体能力は高い。
空中で猫のように身を丸め、体勢を整えて足元から着地する。
スタ。
一丸もまた軽業師のように優雅に降り立った。
――かに見えたが、剣武台外縁部のへりにつま先立ちを余儀なくされている。
足裏の大半は外にせりでていまにも転落しそうな格好だ。
「あわわわわ……!」
懸命に両腕を振って
大地が足をあげて床板を踏みならした。
その振動で一丸のつま先はヘリから離れ、空しく背中から地面へ音をたてて落下した。
「失格、白の勝ち!」
行司が大地の勝利を宣した。
その瞬間、観客が沸騰した。
大地に賭けたものはもちろんのこと、損をしたものまで大地の勝利を褒め称える。
風を自由自在に操ることができる異能の剣士。その摩訶不思議な業にひとびとは驚嘆し拍手喝采を送ったのだ。
大地は勝った。
そして剣客番付第三席の座を手に入れたのである。
第八話につづく
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