第11話 終わった!

 オークの手が俺をまるで人形のように捕まえる。

 そのまま、豆腐を潰すように俺は潰される。

 ぎりぎりと骨が軋み砕け、先ほどのウサギのように肛門から内臓が飛び出し、鼻と口から血が吹き出す。

 

 終わった!








 そんな未来を想像して、意識が遠のきそうになる。


「プロテクション!」


 目の前でオークの手が光の盾に阻まれていた。


「そこの人、下がって! え! キヨ! 何やってるの! 死ぬ気!?」


 レイティアが俺の腕を引っ張りながら、叫ぶ。


「キヨ! 手を離して!」


 手には斧。オークが落とした斧を持ったままだから、体が重い。


「おりゃ!」


 斧をオークから遠ざけるように投げ放った。


 目的達成!


 これでオークの武器は無くなった筈だ。

 オークは怒り狂い、腕を振り回すが、ムサシマルが正面からいなし、避ける。

 ムサシマルが気を引いている間にリタともう一人、青い髪のショートヘアの女性は槍を手に後ろに回っていた。

 二人はタイミングを合わせて、槍で両脚の膝裏を突く。


「グガ~!」


 オークはたまらず膝をつき、四つん這いになったそのスキに、ムサシマルは剣を右肩上に真っ直ぐ天に着くように構える。


「ちぇすと!!!!」


 気合一声。ムサシマルは必殺の一撃はオークの首を刎ねた。

 ドスンと頭が落ちると同時に切り口から血が滝のように噴きだす。


「やった!」


 しかし、首を失った体がむくりと立ち上がる。


 まだ動くのか? 不死身か!?


 俺が驚愕するのもつかの間、そのまま首の無い体は力なくばたりと倒れた。

 それでも五人はしばらく、オークだった肉塊と周りの警戒を怠らない。


「もう大丈夫ですわね」


 レイティアの側にいた金髪の縦ロールの女性が言った。

 

 終わった?

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