クソ!我慢の限界だ!!

TEN3

我慢の限界

 僕は引きこもりだ。


 この部屋が僕の全てだ。


 小さい頃からここにいるが、まさか大きくなってもここに引きこもるとは想像もしていなかった。


 僕が引きこもっている事に親は愚痴を言うが、それに対しては僕は煩いとも思うが、解決しようとしてくれて嬉しいとも思う。


 僕がここに居るだけで部屋は臭くなり、その悪臭は外にも漏れている。親はその事に関して、消臭力や芳香剤などを置いたりなど対処してくれているが効果はあまりない様だ。


 僕は何もしないでゴロゴロしているだけで、親がご飯を持ってきてくれるので僕はどんどん大きくなる。


 たまにこんな生活に耐えれなくなり壁を殴るなど物に当たってしまう。親は僕が壁を殴ると苦い顔をして僕の部屋の扉を触る。その様子を見て僕は、自分がした愚かな行動に後悔して死にたくなる。


 偶に僕を説得して部屋から出そうとする人や、無理矢理物理的に僕を部屋から出そうとする人達が僕の部屋に訪れるが、僕は出て行くつもりはない。


 そして僕はいつもの様にドアを睨む。更に震える手でドアノブを触るが、それ以上の事は怖くて出来ない。そして、それはいつものことだった。


 だが今日はいつもと違った。ドアノブを捻っていないにも関わらずドアが開く。


 これが最後のチャンスか……


 親が僕に与えた最後のチャンス。僕はただこの部屋を出ればいいだけだ。そう……簡単な事だ。


 今まで何もしないで臆病な僕だった。生きているだけでこの家に悪影響を与える価値のない物だった。


 そんな僕でも今勇気を出せば変われる。


 僕は深呼吸をし希望の光に包まれ不安という風が吹き荒れる外に、一歩片足が入る。


 怖い。


 だが僕の後ろには夢や希望も無く、ただあるのは絶望だけだ。そんな場所に帰りたいのか?いや、もうごめんだ。


 僕は勇気を出し、光の中に入る。


 もう怖くない。


 だって未来には希望があるのだから――








 そして僕はトイレの水の中に落ちた。

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